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IRの学校

IRの学校 5時限目「気候変動リスクの開示」

大森慎一(バンカーズ)

イラスト/もとき理川


大森:皆さん、こんにちは。

上場財部株谷:こんにちは、今日もよろしくお願いします。

大森:今日は株谷さんからいただいたテーマを中心に話し合いたいと思っています。

株谷:お願いしたのは、「気候変動リスクの開示」についてです。当社はプライム市場ではないのですが、将来的にはチャレンジしたいと思っているので、何が具体的に違うのか、管理・企画系の負担増の観点からも調査し始めています。

財部:そういえば、よく聞くようになった気がしますね。

上場:東証の再編が現実のものとなって、改めて、プライム市場が注目され、ひとつの特徴として、TCFDの提言に基づく開示が実質的に義務づけられた、などと報道されているからかしら。

財部:「実質的に」とはどういう意味でしょうか?

上場:えーっとそれは⋯⋯有価証券報告書への開示も検討しているけど、まだだから?

財部:でも実質的に義務なんですよね?

上場:あれっ、そうね。

大森:おやおや、コーポレート・ガバナンス(CG)・コードの改訂、見なおしてなかったのかな?

株谷:市場区分の基準のうち、ガバナンスという項目で、プライム市場の上場会社には全原則の適用に加えて一段階高い水準の開示が求められているのです。

上場:なるほど。

株谷:具体的には「気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」でしたね。

財部:さすがです。

株谷:メモ読んだだけだから(笑)

上場:各社は「コーポレート・ガバナンス報告書」を提出しなければいけないのですよね? なんで実質的なんでしょう?

大森:正式なところは、書いている人に聞かないと分からないけど。法的な開示は「有価証券報告書」であって、取引所ルールでの開示にとどまっているから実質的と言っているのか、CGコードが、プリンシプル・ベース・アプローチ及びコンプライ・オア・エクスプレインの手法であって、各社の解釈部分が幅広く認められているから、義務ではなく実質的と言っているのか⋯⋯そのあたりが背景として考えられるかな~。

上場:なるほど、いずれにしても、もう一度CGコードは勉強しなおした方がよさそうですね。

TCFD提言の背景にあるリスク

大森:さて、TCFDでの開示の話に戻そうか。TCFDの提言の内容を、提言に至った背景、求めている開示内容とその方法について簡単にまとめてみましょう。

株谷:はい、お願いします。

大森:まず背景として、もともとは気候変動が、①物理的リスク ②賠償責任リスク ③移行リスクの3つの経路で、金融システムの安定性を損なう恐れがあると分析したことから始まっているようなんだ。

財部:気候変動による物理的リスクというと、台風や洪水などの自然災害ですかね。

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