
イラスト/もとき理川
大森:皆さん、こんばんは。
株谷・上場・財部:こんばんは、今日もよろしくお願いします。
大森:さて、何か質問はありますか?
財部:前回「株価が上がると企業はうれしい」と話しましたよね。だけど、IR担当は一喜一憂することなく、淡々と開示を続けることが重要ですよね?
上場:それに、株価上昇を意識しすぎると、投資家というより、金儲けでしか株式投資を考えられない人というか⋯⋯、そういう方にしか届かないような⋯⋯。
株谷:そうですね。IRでは良い情報も良くない情報も開示する必要がありますからね。
大森:みんなの言うことはよく分かるよ。確かに、株価上昇に目を奪われるのはよくないね。
株谷:ただ、現実としては、「株価を上げる情報はないか」などと上司に言われたり、一般株主から「早く材料を提供しろ」などと言われます⋯⋯。
大森:そういう現実もあるよね。じゃあ、少し、IRのお仕事を整理してみようか。そうだな⋯⋯投資家や株主に対する役割として説明すると、どんな仕事かな?
財部:情報提供です。
大森:杏奈さんはどう?
上場:IRでは投資判断に影響を及ぼす可能性のある情報を提供しています。ん~、でもこの後の説明が難しいですね。
大森:じゃあちょっと寄り道して考えようか。「仕事」とは何でしょうか?物理というか理科の世界の定義で答えてね。
上場:えっ、突然、理科!?
「IRの仕事」って?
株谷:確か、「物体にかかる力と動いた距離の掛け算」ですよね。
大森:おお、正解!ここで、大切なのはかかる力の方向に動いた距離だけカウントされる、ということ。我々の仕事も同じで、狙った方向に達成した量が仕事の量、ということだね。だから、指示した方向、狙った方向、目的が重要ということだね。
というわけで、「IRの仕事」について、様々な言い方をしてみようか。例えば、株式投資にかかる情報を提供することによって、❶株式を買ってくれる人をつくる ❷株式を換金するチャンスをつくる ❸会社の株主を増やす ❹株主を会社のファンにする ❺自分の会社にふさわしい株主を増やす、などかな。
上場:なるほど、いろんな言い方ができるものですね。目的に注目して考えてみると、❶❷は株式の売買そのものの機会を提供する話で、❸❹❺は株主増加を目的とする話ですね。
大森:そうだね...