大森:前回の最後で、ファン株主の定義について整理したよね。今回はどうやってファン株主を増やしていくか考えていきたい。
上場:私たちの会社はコンシューマビジネスを行っているので、ファン層が分かりやすく、非常に興味深いテーマです。
株谷:私の会社の直接の取引先は個人ではないのですが、IR担当としては個人の投資家との接点も多いので、チャレンジできる要素はあるのかなと思っています。
大森:そうだね。IR担当部署のメインターゲットはあくまで投資家だからね。機関投資家、個人投資家の違いはあっても。
財部:前回、IR担当ならではの「大切なファン」という話があったと思うのですが、個人投資家のことですよね?
大森:機関投資家を含めてだよ。
上場:えっ?
大森:日本の株式市場に上場している企業は、現在約3800社。その中から選び出して、株主になってくれているんだから、それだけでもファンといえるんじゃないかな。
上場:それはそうかもしれませんが、投資なので⋯⋯。
大森:ははは、そこだよね。投資行動が先に来ていると、増やしたい株主属性とは違うのかな?
上場:会社のファンではないというのかな⋯⋯。
大森:お金のファン?かな。
上場:はい。決して否定するわけではありませんが。
大森:日本は資本主義なのに、精神論的に「投資は悪」「金儲けは汚い」みたいな風潮がある気がするから、そう感じるのは仕方がないかもしれないねぇ~。
財部:すみません。私もIR室に配属が決まった時に漠然と感じました。実際に、個人株主の方から「株価をどうにかしろ」「IR情報を市場に提供しろ」なんて強く言われて、「買ったのはあなたでしょ?こっちはちゃんと開示しているよぉ」と、悲しくなったこともありました⋯⋯。
株谷:「自己責任でしょ」とは口が裂けても言えないですし⋯⋯。「もう少し長い目線で投資してください」とも言いたいけど、耐えるしかないですね。
大森:ははは、まあそういう身勝手な方もいるね。「投資は自己責任」は永遠のテーマだし、投資と投機の違い*もぜひ考えてもらいたいね。でも、「自社株式は投資商品」で、自分たちはその販売の一翼を担っているという自覚は忘れないでほしいね。