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記者の行動原理を読む広報術

旬な話題に地元色を織り交ぜて独自の切り口からの情報提供を

松林 薫

想定していた外需がコロナで失われ、内需掘り起こしに躍起の政府。鍵を握るのが「地方」だ。さらに、記者のオンライン取材の普及も進む。追い風吹く今こそ、地域の魅力をアピールし、積極広報に努めよう。

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は、東京と大阪を襲った「第二波」も概ね沈静化しつつある。今後は気温が下がる秋以降に向けて、感染拡大を防ぎながら景気回復に力を注ぐ局面に入るだろう。そうした状況下での企業経営が難しさを増すのは間違いないが、冷静に考えればチャンスも転がっている。例えば、地方の企業にとっては、メディア露出の機会は増える可能性が高い。コロナ禍からの復興においては「地方創生」がキーワードになるからだ。

内需掘り起こしの鍵は「地方」

一度、コロナ前の日本の成長戦略を振り返っておこう。国や自治体の財政が厳しさを増す中、成長の柱とされたのはインバウンド(訪日外国人の取り込み)だった。今年夏に予定されていた東京五輪・パラリンピックを起爆剤に、全国で観光需要を掘り起こす。そのために官はインフラを整備し、民は宿泊施設や商業施設への投資を拡大した。地方大学には観光や地域活性化を専門とする学部や学科がつくられ、人材育成も進められていた。

この大戦略がコロナ禍によって崩壊した。五輪は来年に延期されたが、現時点では中止や再延期の可能性もあり、開かれたとしても当初の計画ほどインバウンドは期待できないだろう。さらに入国規制が長引けば、官民挙げて進めてきた投資が過剰になり、不良資産化する恐れがあるのだ。

政府が国民の反対を押し切ってまで「Go To トラベル」キャンペーンを前倒しした背景にも、こうした危機感がある。蒸発した外需(外国人の需要)を埋め合わせるため、早急に内需(日本人の需要)を掘り起こす必要があるのだ。加えて、衆議院の解散・総選挙も取りざたされている。要するに、政府・与党にとって「地方創生」は最優先課題になるはずなのだ。

当然、そうした空気はマスコミ業界にも伝わる。テレビや新聞で地方のユニークな商品や取り組みを紹介する機会は増える。例えば、政府はリゾート地でリフレッシュしながら働く「ワーケーション」を普及させようとしている。こうした新しい需要を開拓する取り組みには全国紙やキー局などからも取材が増えるはずだ(図1)。

図1 全国5紙「ワーケーション」記事数
※日経テレコンのヒット数。8月は26日まで。

筆者作成

旬な話題に「地元色」加える

では、具体的にどうすればこれらのチャンスを活かせるだろうか。まず押さえておきたいのは、出張を伴う現地取材が難しくなっているという現実だ。この傾向は、コロナの影響に加え、マスコミの取材経費が削られていることからも今後は強まると考えられる。

これは地方企業にとってハンディになるが...

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