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記者の行動原理を読む広報術

コロナ禍が加速する記者の世代交代と意識変化

松林 薫

コロナでメディアのテレワーク取材の機会も増加。「3現主義」を堅持してきたオールドメディアもスムーズに対応できている印象だ。その背景には報道業界の『世代交代』があった。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府の緊急事態宣言が全国に拡大されて2カ月。テレワークの本格的な導入などで、人々の仕事に対する意識は劇的に変わった。足元では外出自粛要請が解除され、「第2波」を警戒しつつ、経済活動を再開するフェーズに入ったが、一度変わった意識が「コロナ前」に戻ることはないだろう。これは新聞社など報道業界でも同じだ。カウンターパートである広報も、記者たちの変化を見据えた上で付き合っていく必要がある。

ネット第1世代が中間層に

筆者が驚いたのは、新聞・テレビといったオールドメディアが、意外に早くテレワークに対応したことだ。報道業界における取材は基本、「現場・現物・現人(本人)」とされており、まさに、「昭和型」の職場の代表格だ。「ネットは信じるな」「ネットに頼るのは堕落」と公言する人が一般企業よりも明らかに多い業界だった。やむを得ない事情があったとはいえ、テレワーク取材など、10年前なら社内で激しい抵抗に遭ったことは間違いない。

変化の背景にあるのは世代交代だろう。1990年代後半から入社した「ネット第1世代」が40代半ばになり、職場での影響力を強めているのだ。ネット業界の著名人で言えば堀江貴文氏や西村博之氏も同世代。ほぼ「団塊ジュニア」とも重なる。

実は筆者もそのひとりだ。この世代は業界の歴史的な転換点に入社している。学生時代の1995年にウィンドウズ95が発売され、インターネットの時代が到来。テレビや新聞の地位が揺らぎ始めた。新聞労連が『新聞が消えた日―2010年へのカウントダウン』(1998年)を出版するなど、業界内でも先行きに対する悲観論が囁かれるようになった。

一方、市民の間ではメディアと権力の癒着や取材手法への批判が高まり、マスコミ不信が急速に拡大。世代をひとくくりで語ることに無理があるのを承知でいえば、ネットへの警戒感が薄い上、「業界の古い体質」に疑問を持ちながら入ってきた人が多いのだ。

実際、入社当時を思い返すと、同期が集まる飲み会では、業界で当たり前の長時間労働やパワハラ、「夜討ち朝駆け」式の取材手法を批判する人が多かった。仕事を続けるために職場の文化や慣習に順応しつつも、上の世代に比べ染まりにくかった面はあるだろう。

近年、過労死などが顕在化したのを機にマスコミ業界で進んでいた「働き方改革」が比較的スムーズに受け入れられたのも、そうした世代が抵抗しなかったためだと考えられる...

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