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実践!プレスリリース道場

100年続く技術と情熱をオンラインセミナーで配信、キーコーヒーのリリース

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

今回は、キーコーヒーが動画で「コーヒーのおいしい淹れ方」を指南するオンラインセミナーのリリースを紹介します。

経営企画部広報チーム係長の小山泰知さんは私のリリース講座の卒業生で、この連載に掲載されることを目標に頑張ってきたそうです。受講してから実践を積み、腕を上げていることが分かる事例です。

同社のコーヒーセミナーは1955年のスタート以来、じつに65年もの歴史があります。終戦から10年後にあたる当時は喫茶店の開業を志す人が多く、そうした人たちに向けて店頭やデパートなどで開催していました。やがて時代が移ると、余暇に本格的なコーヒーを家で味わおうとする人が現れ、特に近年は女性が増えているといいます。

現在は都内にセミナースタジオを構えており、65年の間に受け入れてきた受講生は総計37万人にものぼります。今回のオンラインセミナーは、その講座を動画で配信する取り組みです。

講師は社員を中心に、外部から受け入れたアソシエイツ講師も合わせて10人程度。同社はコーヒー愛の強い社員が多く、コーヒーの素晴らしさを世に伝えるために講師職を希望する社員も珍しくないといいます。

実はオンラインセミナーの計画自体はすでに2年ほど前から持ち上がっていましたが、コロナ禍によって今春、急ピッチで進めることになりました。最初のコンテンツである「ペーパードリップを学ぶ編」の収録を行ったのは4月。いよいよ感染拡大が深刻になってきた時期です。講義に慣れている講師ばかりですが、受講生の反応がない中でカメラに向かっての講義は戸惑いもあったといいます。

このご時世、私もオンライン講座を収録することがありますが、通常の講座以上に図版を多くするなどの工夫が必要です。特にコーヒーなどの飲食品はおいしそうなビジュアルがとても重要な役割を果たします。

オンラインセミナーの動画も、工程ごとに湯気が立ちのぼる(アイスコーヒーならグラスが汗をかいている)場面を撮影するプロセスが必要でした。そのため一気には収録できず、何度もコーヒーを淹れ直し、1時間分の収録に丸一日かかったそうです。

広報はプランニング段階から携わり、収録にも立ち会い、社内報や広報誌、ホームページの制作に必要な写真も準備。リリースは5月中に小山さんがベースを書き上げ、広報チームリーダーの磯田義尊さんら広報メンバーがチェックしました。

セミナーを企画したコーヒー教室とマーケティング本部市場戦略チームにも原稿チェックを回しますが、すでに信頼関係が築けているため、ほぼ事実関係の確認だけだといいます。

「100年」の数字をアピール

では、そのリリースを見ていきましょう。リリースは、6月19日の動画公開に合わせて配信しました。このオンラインセミナーは、同社の100周年記念事業のひとつ。そこで、(ポイント1)リリースの右肩にアイコンを置き、タイトルやリードで創業100年をアピールしたのがきいています。「100年」という単語には、それだけで目を引く効果があるのです。

オンラインセミナーはすでに様々なジャンルで増えており、その勢いはコロナ禍でさらに加速しました。そのため、ただのオンラインセミナーではメディアに取り上げてもらうことが難しくなっています。小山さんも「100年という歴史のある企業がオンラインセミナーをやるというギャップを意識しました」と話していました。また、今後の予定を入れることで一度きりの情報掲載でなく、将来的に取材も検討してもらえるよう工夫しています。

(ポイント2)1枚目の上段には講師のビジュアルとともに、タブレットを見ながらコーヒーを淹れている女性の画像も掲載。画像は...

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