本連載13回目では大学広報の専門性について考えました。組織レベルでの現状をみると、広報課や広報室といった広報専門部署の設置は公立大学において私立大学並みに進んだのに対して、国立大学と私立大学については現状維持に留まりました。一方、個人レベルでこうしたことが話題にのぼることはほとんどありません。
そこで今回は少し古いですが2012年の文部科学省調査(以下、文科省調査)データから大学の広報担当の採用と配置を取り上げます。ここでいう広報担当は、学生募集を担当する入試広報の担当とは別に、本連載2回目で定義した「大学広報」の担当者です。
先に大学広報を担う「広報人材は高度専門職である」という政府の指針を再確認しましたが、文科省調査に「広報担当専門人材の外部からの登用有無」に関する質問があります。それによると国立大学の31.8%、公立大学の7.7%、私立大学の18.5%が「広報担当専門人材がいる」と回答しています(図表1)。国立大学において比較的専門人材の登用が進んでいるのに対して、公立大学の大半はそうした登用をしていないという、専門部署の設置と同じような傾向がみられました。
採用人材から見る各課題点
では具体的にどのような広報担当専門人材を登用しているのか。さきほどの「登用有無」の質問で「広報担当専門人材がいる」または「かつてはいたが、今はいない」と回答した大学に、どのような職歴の人を登用したのかを聞いた質問があります(図表2)。それによると、国立大学は「広告会社、PR会社」、「雑誌編集者、ライター」が、公立大学は「その他」、「広告会社、PR会社」が、私立大学は「広告会社、PR会社」、「その他」、「新聞記者」がそれぞれで多いことがわかります...