2020年春の叙勲において、追手門学院大学の卒業生で芥川賞作家の宮本輝氏に旭日小綬章が贈られました。どのような卒業生が輩出されてきたかという歴史は、大学のイメージやその大学らしさ(大学のブランド)を形づくる要素のひとつです。特に追手門学院大学の場合、宮本輝氏は大学開設と同時に入学した1期生であり、その当時の体験をベースに小説『青が散る』(文藝春秋)が書かれていることから、その影響力は多大なものがあります。
今回は大学のブランドを形づくる卒業生を、広報活動の一環として視覚的にアピールする大学の歴史展示施設を取り上げます。もっとも、その展示対象は卒業生個人に留まらず、大学の歴史(大学史)そのものや卒業生に多大な影響を与えた教職員まで広げている場合がほとんどです。そのため「卒業生と関係する教職員、大学の歴史」までを一括りとして扱います。
教育研究機関である大学は、様々な形の展示施設を持っています。東京大学や京都大学のような国立大学の一部は、研究活動の一環で収集した資料を展示し調査研究も行う、①総合的な博物館」を設置しています。また国公私立の別にかかわらず、②「著名な卒業生の顕彰・紹介」をする展示施設を設けている大学や、③「創立者や創立にかかわった教職員と大学の沿革を紹介」する施設やスペースのある大学も多いです。
ここに挙げた3つの形式を別々にしている大学もあれば、関連させてまとめている大学もあります。特に私立大学は、本連載が対象とする「大学の歴史展示施設」にあたる②「卒業生の顕彰・紹介」と③「創立者・沿革などの紹介」に関するものが多く、追手門学院大学も同様です。
社会的イメージの向上に寄与
では、この「大学の歴史展示施設」を広報的に考えるとどうか。民間企業の企業博物館の事例と対比させて考えます。というのも「大学の歴史展示施設」に関する広報的研究の蓄積はほとんど確認できませんでした。企業博物館研究が先行しており、その成果を当てはめることで客観的に捉え直します。
企業博物館の研究は大正大学の高柳直弥講師が専門としています...