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米国PRのパラダイムシフト

タイプ別にみる企業の脅威 グローバルクライシスの今

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

今回は巻頭特集に合わせて、グローバルのクライシス事例をいくつかのキーワードとともに、取り上げてみたい。さて、この原稿は出張先のボストンで執筆中である。2019年は確か、4度目のアメリカだが、最近、アメリカに来るたびに気になることがある。かつて空港内にでかでかと掲げられていた大統領のポートレートを見かけないことである。

政治的分断がもたらすリスク

以前は様々な空港で、オバマ大統領の堂々とした巨大な写真が「Welcome to the United States」というメッセージとともに迎えてくれ、「ああ、アメリカだ~!」と感慨を覚えたものだが、今回も乗り継ぎのシカゴでも、ボストンでも、現大統領の写真を見ることはなかった。かつては融和と連帯の象徴であった大統領が、今や「分断」の象徴であるのだから、やるせないものである。

ヨーロッパに目を向ければ、イギリスでは脱EU派とEU派が国論を二分し、香港では反中派が激しく抗議活動を続けている。翻って、日本では、ラグビーワールドカップという一大行事で盛り上がったものの、韓国との関係性は大きくこじれ、お互いの国への感情は著しく悪化している。というわけで、一つ目のキーワードは「分断」である。

この政治的分断が、経済活動に落とす大きな影。これが2019年最大のリスク・クライシス要因だ。韓国人観光客が激減した日本の観光地や、韓国に進出する日本企業、イギリスに拠点を持つ日本企業等々、多くの経済活動がこの不安定要素の影響を受けている。

「アメリカでも、企業が政治的立場を明確にすべき、というプレッシャーはいまだに強く、多くの企業が旗幟鮮明にしているが、それに対する反発の声があがるなど、分断は進んでいる」(危機管理コンサルタント、リチャード・リービック氏)。

巨大企業の足元が揺らぐ事態

2つ目のキーワードは「翳り」である。これまで盤石と見られてきた巨大企業の足元が揺らぐ事例が相次いでいる。例えば、ボーイング社。新型機737機に不具合があり、2度の飛行機事故を招いたものの、リコールを行うなどの適切な処理を行わず、激しい反感を買った …

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