新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
今年も残るところ2カ月。そこで今回は「ロイターズ・インスティチュート デジタルニュースレポート」2019年版を紐解いて、秒速で変化する世界のメディアの最新事情を探っていきたい。
国ごとに異なるメディア事情
世界38カ国、7万5000人を対象にしたこのレポートは世界のニュースメディアトレンドを俯瞰する非常に興味深い調査だ。今年の調査のポイントは以下の通りだ。
●有料メディアへの課金に課題
有料オンラインニュースメディアへの購読はあまり増えておらず、有料コンテンツを購読する割合はノルウェーやスウェーデンなどでは3割近くに上った一方で、アメリカは16%、イギリスでは9%、日本は7%と低かった。また、購読するとしても単一のメディアのみという人が圧倒的に多く、ニュースの課金システム構築の難しさが浮かび上がっている。
●ニュースvsエンタメ
一方で、限られた予算を、NetflixやSpotifyなど映像や音楽などの有料コンテンツに振り向けたいという人が増えており、ニュースvsエンタメコンテンツのパイの奪い合いの様相になっている。
●FBの滞留時間は減少傾向
ソーシャルメディアはFacebookの使用率が圧倒的に高いが、滞留時間は減少傾向にあり、その代わりにWhatsAppやInstagramに時間を費やす人が増えている。WhatsAppなどを通じて、ニュースをシェアする人も増加傾向にある。
●フェイクニュースへの懸念
多くの人がリアルニュースとフェイクニュースの見分けがつかなくなっていることを心配しており、イギリスやアメリカなどでは懸念している人が多い。呼応するように、メディアへの信用も低下傾向にある。
●スマホのニュース閲覧が約7割
ニュースを閲覧するデバイスとしては66%がスマホとなっており、モバイルのニュースキュレーターであるApple NewsやUpdayなどの人気が高まっている …