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米国PRのパラダイムシフト

PRのモチーフ選びに要注意 「文化の盗用」という問題

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

皆さんは"Cultural appropriation"と聞いて、ピンとくるだろうか。耳慣れない英語だが、辞書を見ると、文化の盗用(横取り・横領)とある。culture(文化)をappropriate(占有する)という語源で、「他者の文化をわがもののように扱うこと」ということ、つまり、他国、地域の文化をマーケティングやPRのモチーフとして、不適切に扱うことを意味する。

グローバル化が進み、セレブや企業が、この「文化の盗用」で批判を浴びるケースが増えている。今回は、過去の事例と注意点について触れてみよう。

「日本文化への侮辱」と批判

最近、話題になったのは、Instagramのフォロワー数1億4000万人以上のアメリカの超人気セレブタレント、キム・カーダシアンの事例だった。6月25日、様々な事業を展開しているカーダシアンさんは新たに立ち上げる補正下着ブランドを「Kimono(キモノ)」と命名し、商標登録の申請を行ったことを公表したのだ。

カーダシアンさんは「日本のルーツから切り離してではなく、日本の衣服における美しさと細部への敬意から会社名を『Kimono』と名付けることにした」と意図を説明したが、「日本文化の盗用」「日本文化への侮辱」だとして、SNSで「#KimOhNo」のハッシュタグで批判が殺到。署名キャンペーンサイト「Change.org」上のプロジェクトでも、賛同者は13万に達した。その結果、京都市の門川大作市長や世耕弘成経済産業大臣らが、見直しを求める意見を表明する事態へと発展した。

カーダシアンさんは当初、ブランド名を変更する意向がないとしていたが、7月1日、「慎重に考え、検討した結果、新しい名前で立ち上げることにした」と表明し、事態は収束した。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、「カーダシアンさんはその名称を聞いた時には即座にピンときた …

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