社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
キユーピーは2019年、創業100周年を迎えた。日本で初めてマヨネーズやドレッシングを製造・販売するなど、1919年の創業から変わらぬパイオニア精神で新たな商品を提供し続けてきた。商品とともに、コーポレートシンボルの「キユーピー人形」も長年にわたり親しまれている。
今回、100周年を迎えるにあたり、企画実行委員会を設置。1年間の企画検討を経て、企画ごとに部署横断でチームをつくり進行した。
周年事業を担当した広報・CSR本部の池田律子氏は、「100周年事業のテーマは"感謝"です。従業員、お客さま、お取引先さま、株主さまといった各ステークホルダーに向けて、それぞれに合わせた企画を考えました」と説明する。
1年間を通じて幅広く展開
まずスタートさせたのは、従業員に向けた100周年記念ミーティングという企画だ。役員が国内外約160カ所に出向き、100年間の歴史や価値について自身の言葉で伝える機会とした。また、役員が一方的に話して終わり、という形ではなく、グループの未来について話し合う場を設定。従業員からも「100年の歴史がある理由が実感できた」「メンバーと会社の未来を考える良い機会になった」と好評を得ている。
「1回きりの大きなイベントだけではなく、従業員との直接的なコミュニケーションを取る場を大切にしたいと考えました。役員は国内外を飛び回るなど大変でしたが、経営者と従業員の双方にとって、会社や自分の仕事を見つめ直す良い機会となりました」と池田氏は振り返る。また各地の従業員と本部が協力し、エリアごとに地元に根付いた味とマヨネーズを組み合わせた企画品を開発。各事業所との連携も図っている。
「食」と「音楽」で笑顔を届ける
対外向けにも1年間を通じた企画を進行。「食」と「音楽」をテーマにしたコンテンツも用意した。
料理番組として1962年から放映を開始した『キユーピー 3分クッキング』(日本テレビ系列、CBCテレビ)のテーマ曲としておなじみの「おもちゃの兵隊のマーチ」をモチーフにした、オーケストラ曲を新たに作曲。ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団のオーボエ奏者である、ヨーゼフ・ベドナリク氏が手がけた …