社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
ハナマルキは2018年11月、創業100周年を迎えた。周年事業は花岡俊夫代表取締役社長をトップに専務取締役、経営管理部、総務部、マーケティング部の取締役ら、計5人の創業100周年プロジェクトチームによって展開された。
コンセプトは「次の100年へ」。過去を振り返らず、未来を想像していくことを掲げ、主に2つの取り組みを実施した。従業員を対象にした「感謝の集い」と伊那工場(長野県)内に建設した「みそ作り体験館」だ。
「液体塩こうじ」の可能性を実食
2018年春に開催した「感謝の集い」は従業員とその家族が招待され、総勢約800人の参加者が2回に分けて千葉県浦安市のホテルに集まった。「従業員と家族に日ごろの感謝を伝えたいというトップの意向とともに、2つのメッセージを込めた」と企画・運営を手がけた取締役マーケティング部長兼広報宣伝室長の平田伸行氏。「ハナマルキで働いていてよかったという誇りを持ってもらいたい、次の100年に向けて社内の結束を高めたい、という思いを込めて企画しました」と説明する。
開演時にはオープン前の「みそ作り体験館」(長野県伊那市)を映像で初公開した。先進的なデザイン建築の施設が完成した姿を通して、次の100年が始まっていることを象徴的に感じさせる場とした。
会場で提供された料理はこの会のために用意したオリジナルメニューだ。ホテル側の全面協力のもと、近年、主力商品と位置づけ海外のレストランでも採用され始めた基礎調味料「液体塩こうじ」を前菜からメイン、デザートにまで使用した。会食中には海外の三ツ星レストランのシェフが商品について語るインタビュー映像も上映された。「次の100年に向けキーとなる商品の多様な可能性や、海外進出を図る自社の姿を従業員や家族の皆さんに実感していただけたのでは」。
会場では従業員の家族同士の交流が盛んで、花岡社長が各テーブルを回り従業員一人ひとりと挨拶を交わすなど、アットホームな雰囲気に。さらにクイズ大会では、1位の従業員に花岡社長お手製のサーモンの燻製が贈られる場面も。美味しいと評判の燻製は取引先への贈答品としており、従業員が賞味できる機会は珍しい。「だからこそ1位の賞品にしたいと直談判しました。優勝者へのサプライズにもなったと思います」 …