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米国PRのパラダイムシフト

全力でメディア化するグローバル企業 「ストーリーファースト」を徹底

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

今号では巻頭特集に合わせ、グローバルのオウンドメディア先進事例を紹介していきたい。日本でも最近では、企業がオウンドメディアを充実させ、ストーリーを発信していく取り組みなどを見かけるようになってきたが、PRの主戦場はまだまだマスメディアの趣だ。オウンド、ソーシャルの世界では遅れをとっている印象はぬぐえない。

ソーシャルやオウンドという新たなチャネルの普及で、自らが直接、ステークホルダーに情報を届けられるようになり、企業のコミュニケーションは大きくその姿を変えた。一言で言えば、グローバル企業は、半端のないおカネと人材を投じて、全力で「メディア化」をしているように見える。

テレビ番組並の予算と内容

例えば、投資銀行大手のゴールドマン・サックスがその好事例だ。さすが、世界に名だたる投資銀行、そのコンテンツの豊富さは比類を見ない。そして、その主役は「ストーリー」だ。例えば、3月8日の国際女性デーの日には、トップページで女性活躍のストーリーを取り上げ、その女性活躍支援プロジェクトをビデオなどで紹介した。サービス紹介、企業情報などといったつまらないコンテンツはサイトの目立つところには一切ない。すべてが読ませる、見せる工夫をした「番組」や「ストーリー」だ。

そのひとつが「Catch-Up With David」というコーナー。デービッド・ソロモンCEOが毎回、社員やエコノミスト、企業経営者などをゲストに迎えて話を聞き、動画で見せるという内容だ。そのバージョンアップ版が「Talks at GS」というもので、これは社外の超有名人をゲストにしたトークショーだ。

さらにはポッドキャストまで運営しており、もはや、テレビ番組か?といったぐらいの予算と手間をかけてつくられたコンテンツやストーリーが山盛りなのである。こうしたコンテンツはYouTubeやソーシャルメディアにもシェアされており、Twitterには71万9000人、Facebookに22万人のフォロワーを擁する。

最近のグローバル企業のウェブサイトは日本のものとはずいぶん趣が違う。日本のサイトで主役となっている製品やサービス、企業概要などといった「情報」「説明」がすっかり影を潜めている …

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