業界ごとに存在する数多くの専門メディア。広報担当者にとっては、メディア対応の登龍門となることも多いでしょう。その編集方針やヒット企画、注力テーマを聞き、関係構築のヒントを探ります。
『病院』編集室DATA | |
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医学書院が発行する『病院』は「よい病院はどうあるべきかを研究する」を編集コンセプトに、その運営指針を提供する月刊の専門誌。病院の経営者層が主な読者対象で、同分野の研究者や行政担当者・コンサルタントにも最新の研究や政策の動向を示す。
2018年2月号では「病院広報」を特集した。高齢化と人口減少で病院経営は厳しく、医療従事者の争奪戦も激しくなる。この分野は広告の法規制が厳しく、広報の手腕が問われる。誌面を統括する医学雑誌部第4編集室長の今田亮平氏は、広報が注目される理由について「地域に根づく業態上、情報発信のみでなく双方向のコミュニケーションが求められます」と語る。
一方、同特集の論文「いま、病院広報を取り巻く環境を整えるとき」が伝える2014年の全日本病院協会・広報委員会アンケートでは、広報担当者がいる病院は70.9%だが、兼任が61.5%。論文の筆者は、広報人材の確保に悩む経営者から相談を受ける機会も多いそうで、今田氏も「病院以外の分野から参入する担当者も多い」と話す。
同特集では特筆すべき広報活動の事例を紹介している。社会医療法人祥和会脳神経センター大田記念病院(広島県福山市)では患者満足度調査で評価上位の「病院給食」を家庭用にアレンジするレシピ本を発刊。累計4000冊以上が県内の書店で販売され、間もなく完売の見込みだという。
さらに脳卒中のリスク要因である高血圧を防止する「減塩指導」の積み重ねから、レシピ本と併用できる「だしパック」も地元メーカーと共同開発。全国約700のスーパーなどで取り扱われたと伝える。
また公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院(岡山県倉敷市)が研修医採用のために行った「実技試験」も扱う。極小折り鶴の組み立ても含む斬新なその科目と実技試験動画はSNSで話題になり、海外の広告賞などにも入賞した …