新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
PRやコミュニケーションのグローバル最新事例やスキル、トレンドをお伝えすることをライフワークとしている筆者だが、海外の業界紙やメディア、ネットの情報を時間をかけて検索し、発掘し、コンテンツ化する作業というのは骨が折れるものだ。
しかし、膨大な情報の海から極上のネタを発見した時の喜びは何事にも代えがたい。そういう大発見をした時、英語では「Jackpot!」(大当たりしたぞ!)と喜びの声を上げるのだが、今回、ご紹介するのは、つい、そう叫びたくなった秀逸レポートである。
PRのプロフェッショナルにとって必須の知識といえば、メディアの最新トレンドであろう。しかし、各国別の調査などはあるが、なかなかグローバルレベルで全体像をつかむことは難しかった。このイギリス・オックスフォード大学のThe Reuters Institute for the Study of Journalismが行った「Digital News Report」はなんと、世界36カ国・地域の7万人を対象としたもので、しかも過去6年間の世界のデジタルメディアトレンドが一気に俯瞰できてしまうという優れものの分析レポートなのである。
年代別で異なるニュースソース
というわけで、今回だけでは紹介しきれないデータ量なので何回かに分けて読み解いていきたい。どういったデジタルニュースメディアが人気なのか、どのように人々はニュースを入手するのか、といったことが事細かにデータで示されており、国別比較、年別比較などそのトレンドが手に取るように分かる。ここでご紹介するのは、最新版の2017年のものである。
ニュースの入手経路について、「主要なニュースソースは何か」を尋ねた問いに対する回答は図1だった。若年層ほどネットでの入手が多く、年を取るほど、テレビを利用する人が増える。
主要国別の時系列グラフ(図2)で、ソーシャルメディアをニュースソースにしているという人の割合を見ると、日本はアメリカやイギリス、フランスに比べて相対的に低いことが分かる …