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米国PRのパラダイムシフト

デジタルメディアバブルが崩壊?カギはコンテンツの質と拡散力

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

日進月歩で変化を遂げるメディア業界。PRプロフェッショナルはその地殻変動から目が離せないが、今回はアメリカの最新オンラインメディア事情についてご紹介しよう。

「時代の寵児」に身売り話浮上

日本同様にアメリカでも、雑誌や新聞業界などの経営の苦境が長らく取り沙汰されてきたが、ここにきて、飛ぶ鳥を落とす勢いだった新興デジタルニュースメディアの減速が顕在化し、2017年はメディア業界にとって、とりわけ厳しい年となった。

例えば、ファッション誌の『Vanity Fair』(コンデナスト社)は編集費の30%カットを余儀なくされ、ニューヨーク・タイムズなどの新聞メディアも活字部門の広告収入の落ち込みに歯止めをかけることはできなかった。

特に、このところ苦戦しているのが、時代の寵児としてももてはやされたデジタルニュースメディアだ。「The Daily Beast」「The Onion」などといった人気ニュースサイトにも身売り話が浮上。テクノロジーやポップカルチャーのコンテンツなどで知られる「Mashable」は、過去の評価額の5分の1の価格で売却されることが決まった。

女性向けのファッション・ライフスタイルサイト「Refinery29」も、全スタッフの1割弱を解雇。「Vice」「Vox」「Axios」なども苦境ぶりが伝えられ、日本でも知名度の高い「BuzzFeed」も、想定した利益を達成することができなかったことが明らかになった。

クリック狙いの動画が増加

問題は、日本同様にコンテンツパブリッシャーの過当競争が激化していることだ。参入障壁が比較的低い業態だけに、次々と新興サイトが立ち上がり、パイを食い合うようになっている。さらに、伸長が期待されたオンライン広告の収益も、ふたを開けてみれば「Facebookが24%、Googleが43%と、合わせて7割を独占」(ウォール・ストリート・ジャーナル)されており、残されたパイを無数のコンテンツパブリッシャーで奪い合うという事態になっている。

また、一時は「デジタルメディアバブル状態」で、多額の資金がベンチャーキャピタルから流れ込んでいたが、エグジット(株式売却によって利益を得ること)の行方が不透明になるにつれ、急速にブレーキがかかっている。

結局のところ、広告収入以外の収益を上げることがまだまだ難しいというのが、最大のネックだ。最近は、こうしたニュースサイトの記事で商品紹介などを目にすることが増えた。収益源の多角化を目論んでいることがうかがえる。各社とも動画制作に力を入れているが、明らかにクリック狙いの話題も多く、クオリティが担保されているとは言い難いコンテンツも増えている。

メディア別FBへの反応は?

一方で、ニューヨーク・タイムズなどの名門大手メディアは、広告の落ち込みを紙とオンラインの購読者数の増加でカバーしようという方向性で、「2000年に26%だった購読収益は64%まで上昇」(アトランティック)している …

あと56%

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