いよいよアートイベント「道後オンセナート 2014」のプロジェクトがスタート。観光によるまちづくりを「自分ごと」化すべく、地域・アーティスト・行政を巻き込んで議論を重ねていきました。

平野 治朗「GINGA」(C)JIRO HIRANO/Dogo Onsenart 2014

参加型の光のパレードやプロジェクションマッピングなどを通じて、多くの人がアートに関わることができるよう工夫した。
ライゾマティクス「Haunted Onsen」(C)Rhizomatiks/Dogo Onsenart 2014
2014年4月10日、愛媛県松山市・道後温泉のシンボルである道後温泉本館が改築120周年の大還暦を迎えることを契機に、アートイベント「道後オンセナート 2014」が開催されることになりました。
アートのキュレーションや企画構成は東京のスパイラル(ワコールアートセンター)が担当。私たちはデザイナーや編集者、ディレクターなど若手クリエイターとともに、地元でアートや演劇、地域活性の活動を続けてきたNPOや団体とタッグを組み「道後アートプロジェクト」というチームを組んでプロポーザル(提案)をし、ブランディング業務と緊急雇用創出事業を担うことになりました。
「ひとり歩きする」イベントに
企画当初から私たちには、このイベントが一発の打ち上げ花火で終わってはいけない、という強い想いがありました。また、2018年秋以降に計画されている道後温泉本館の保存修理工事を見越して、今後、本館だけに頼らない観光まちづくりを「自分ごと」として進めていくためにも、チームとして「オール松山・オール道後」で地域の人たちを巻き込みながら企画運営をしようと考えていました。
当初、地元の人からは「東京の人がやって来てアートとか言うてるけど、それで本当に客が増えるんか?」「ワシにはアートは分からん」など、不安の声が多かったのも事実です。またローカルには"よそ者"にはなかなか分からない、地域がもつ独自の雰囲気や人間関係もあります。その中で、地域・アーティスト・行政の間に立ち、道後オリジナルの企画や展示方法などを検討し、形にしていきました。
当時、スパイラルや行政担当者との間でよく議論したのは「アートありきなのか、それとも企画ありきのアートなのか」ということ。今回の事業は行政区分上、文化事業ではなく地域活性のための事業でした。そのためにまずは「道後温泉」という名を全国に売り、道後の知名度を上げること、そして道後に訪れる人の数を増やすことが求められます …