この世には「バカ」がつくほど愛される、PR上手な商品・サービスがある。そんな「PRバカ」と呼べる存在を求めて、筆者が仕掛人を訪ねていきます。
File:3 日本アンガーマネジメント協会
感情を抑えきれず吐いた暴言で議員辞職に追い込まれる政治家、教員の体罰や社内のパワハラ問題、自動車を運転中にキレてしまう「ロードレイジ」……近ごろ、怒りの感情ひとつで人生を台無しにしてしまう人にまつわるニュースが増えています。
同時に、なぜだか「アンガーマネジメント」という言葉を頻繁に目にするようになりました。怒りの感情をコントロールする方法だという「アンガーマネジメント」。明らかにメディア露出が増えています。国内では「日本アンガーマネジメント協会」という組織があるのですが、米国のナショナルアンガーマネジメント協会の日本支部にあたります。アメリカで生まれたアンガーマネジメントの考え方を広めるための活動をしているそうです。
協会の広報によると2016年はテレビ・ラジオ40番組、新聞・雑誌494誌をはじめ1294媒体で取り上げられました。私自身はまったく怒りを感じないタイプですが、これほどメディアが注目するということは「怒りをコントロールしたい」と考える人が増えているのでしょう。早速、協会に突撃取材することにしました。
米国の心理教育がルーツ
東京の田町にある協会のオフィスに入ると、セミナールームと小さな執務スペースだけの空間。明らかに小さな組織で、そんなに儲かっているようには思えない(失礼な言い方でごめんなさい)。だとしたら、これだけのメディア露出をどうやって生み出しているのか、不思議です。
代表理事の安藤俊介さんによると、アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで始まったアンガー(イライラ、怒りの感情)をマネジメントする(上手に付き合う)ための心理教育のこと。「アメリカではビジネスパーソンや政治家、弁護士、医師、スポーツ選手、俳優など職業にかかわらず、よりよい生活や仕事、人間関係を手に入れるためにアンガーマネジメントの技術を取得しています」。
勝手に解釈すると、アンガーマネジメントとは「怒りで損をしないための技術」。だとすると、昨今の日本で頻発する揉めごとの数々は、アンガーマネジメントの技術があれば解決できるのかも?と疑問をぶつけてみると、安藤さん曰く「そうなんです。ですから、この考え方を広く知ってもらうための広報戦略を日々練っているんです」とのこと。
美崎's eye
時事ネタに乗る「怒り診断」
その取り組みのひとつが「本日のNEWS怒り診断」と題した、プレスリリースの発信。何か怒りに関する問題がニュースになると、安藤さんが専門家として原因を分析したコメントを報道関係者向けに配信しているのです …