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地域活性のプロが指南

漁業を「UPDATE」するためにできることは?

長谷川琢也(一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン 事務局長)

団体設立当初からの目標であった「生産者と消費者をつなげる」ため、直営飲食店やアパレルの展開、ビッグデータ活用など、新たな挑戦を続けています。

フィッシャーマン・ジャパン直営の飲食店「宮城漁師酒場 魚谷屋」。石巻の旬の海産物を使った料理を食べることができ、生産者とも交流できる。

フィッシャーマン・ジャパンが実現したいことのひとつに、「生産者と消費者を近づけたい」ということがあります。海に囲まれた島国の日本に住む人々は、海や漁師、漁業や海産物のことを忘れてしまっているからです。毎日海と向き合っている漁師たちがそれを思い出すきっかけを提供すれば、消費者は美味しく海産物を食べることができ、漁師のモチベーションアップにもつながるのではないかと漁師たちは考えたのです。

生産者と交流できる場所を

そして、フィッシャーマン・ジャパン設立の翌年である2015年から、「FISHERMAN CAFE」「FISHERMAN BBQ」など様々な取り組みを始めました。実際に毎月1回、東京のカフェやレストラン、社員食堂などに漁師が出向き、そのお店の料理人の皆さんに調理していただいたり、皆でバーベキューを楽しんだりと交流が生まれました。

漁師たちの予想通り、消費者は喜び、ファンになってくれる人が増えました。ときには都会の女性から「わたしたちが食べる海の幸をつくってくれてありがとうございます!」と手を握られて、テンションもモチベーションも上がる漁師もいました。この取り組みが、漁師たちに「いつか自分たちで生産者と消費者が交わる場所をつくりたい」という夢を与えたのです。

その翌年、いきなりチャンスが訪れました。フィッシャーマン・ジャパン直営の飲食店事業プランを理解してくれる金融機関が現れ、ほぼ同時期に「石巻の食をPRする店」を東京に出そうとしていた仲間のひとりが「フィッシャーマン・ジャパンの夢を一緒に叶えたい」と言ってくれたのです。

そしてできたのが「宮城漁師酒場 魚谷屋」です。東京・中野駅から徒歩2分の好立地に空きができたこと、クラウドファンディングで500万円の資金と300人以上のパトロンが集まったことも幸運でした。店の改修には、これまで石巻やフィッシャーマン・ジャパンと関わってくれた人たちが汗を流してくれました。店内には石巻の木材を使った机や椅子、石巻の大漁旗や日本酒の瓶が飾られています。

縁のある人たちが働く居酒屋にファンの皆さんが集まって、毎日偶然知り合いと出くわしたり、新しい出会いが生まれたりする場所ができたのです。グランドメニューはなく、旬の海産物を調理し、必ず毎月1回その海産物をつくる漁師が店に現れ、「漁師ナイト」が開催されます。石巻に来られない人も、この魚谷屋で漁師や様々なプロジェクトを知ってくれて、フィッシャーマン・ジャパンに関わるきっかけにもなっています。

漁業をアップデートする

5回にわたって筆者個人が漁業と出会い、のめり込んでいく経緯を書いてきましたが、個人の力には限界があると思って会社や色んな人を巻き込み、チームで漁業の課題を解決しようとここまでやってきました ...

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