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「インスタ映え」と「インスタ蝿」行き過ぎた行動に企業はどう対応すべきか

鶴野充茂(社会情報大学院大学 客員教授/ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

イラスト/たむらかずみ

「インスタ映え」で生まれた問題
広い店内が特徴的な家具量販店「IKEA(イケア)」には、SNS投稿用の写真を撮りに来店する若者の姿が少なくない。ネット上ではそんな若者のマナーが問題視されている。

「写真映(ば)え」や「インスタ映(ば)え」が今、店舗やイベント集客のキーワードになっている。SNSに投稿した時に、たくさんの「いいね!」が集まりそうな写真を撮りたい人たちがやって来るからだ。この写真映えを意識して、飲食店は見た目にインパクトのあるメニューを開発し、店舗や施設はレイアウトや照明を工夫する。イケアもそんな「フォトスポット」といえる。

実際にInstagram(インスタグラム)やTwitterでイケア店内で撮られた写真を見ると、そのほとんどは「普通の」買い物の様子を撮ったものだ。しかしよく見ると、「カートで遊びまくった」などのコメントとともに、海外のミュージックビデオをまねているかのような、広い店内を大型のショッピングカートに乗って浮かれ、遊び興じているようなものも含まれており、それらが問題視されている。

インスタ映えとインスタ蝿

問題はイケアだけではない。あるアイス屋では、客がアイスの写真を撮った後、捨てられた食べ残しで一杯になったゴミ箱の写真が店の情報とともにネット上で拡散している。

こうした振る舞いをマナー違反だと腹を立てる人たちは、「インスタ映え」に熱心な人たちのことを「インスタ蝿(ばえ)」などという蔑称で呼び、摩擦が生まれはじめている。

日焼けの心配もなくライトアップされた夜間のプールを楽しめるナイトプールも、最近注目を集めるフォトスポットの1つだ。そこでは純粋に泳ぎに来た人が、写真を撮りたい人たちから白い目で見られ「危険」だと注意を受けたりする。そんな様子を皮肉的に捉えた動画が広まったりもしている。

企業はどう対応すべきか

企業は今後、こうした問題に対して対策を講じることが求められるようになるだろう。似たような問題がこれまでも繰り返し起きてきたからだ。例えば、TwitterやFacebookが広まって、ネタ消費と呼ばれるネットの反応を目的とした消費行動や、食品の冷蔵庫・冷凍庫に入って写真を撮るなどの行き過ぎた行動が起きた。それに対して従業員教育の強化や利用者への注意喚起が求められるようになった。

さらに前には、ビックリマンチョコのオマケ・シール欲しさにお菓子を買い、お菓子は食べずに捨てる行為が問題視されたこともあった。この時は学校が指導に乗り出したほか、メーカーは特定のシールに価値が出るような広告をせず、また混入率を平準化させるなどの対応があったという。

個人のマナーの問題だとする考え方が今後も基本であり続けるだろうが、ビジネスをする側の責任も問われる方向に進むと考えるのが自然だろう。

企業にとっては、すでに「売って終わり」の時代ではなくなっている。製造・販売現場の労働環境から、適正価格で販売し、消費されて、循環していくサイクル全体までを配慮しているかどうかが見られている。広報としてもその理解が必須となるだろう。

社会情報大学院大学 客員教授・ビーンスター 代表取締役
鶴野充茂(つるの・みつしげ)

米コロンビア大院(国際広報)卒。国連機関、ソニーなどでの広報経験を経て独立、ビーンスターを設立。中小企業から国会までを舞台に幅広くコミュニケーションのプロジェクトに取り組む。2017年4月から社会情報大学院大学客員教授。著書はシリーズ50万部のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。
個人の公式サイトは http://tsuruno.net

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