業界ごとに存在する数多くの専門メディア。広報担当者にとっては、メディア対応の登龍門となることも多いでしょう。その編集方針やヒット企画、注力テーマを聞き、関係構築のヒントを探ります。

ホテルなどの新設相次ぐ マカオの今をレポート(17年5月8日号)
氷のテーマパークのほか、3DやLEDエフェクトなどの最新技術を使った「西遊記チャイナ・ショー」などエンターテイメントも充実するマカオ・コタイ地区からレポート。
『週刊ウイングトラベル』は、速報のメール版『日刊旅行通信』とあわせ最新最速の報道を誇る旅行業界紙。最近では民泊や「忍者体験」など訪日客に人気の高いコース紹介をはじめ、新たな業界の動きや課題を幅広く扱う。「宿泊や交通手段を消費者が直接手配する時代に、いかに業界が変貌すべきかを探っています」と同紙編集長の石原義郎氏は語る。
特に最近注目の話題は統合型リゾート(IR=Integrated Resort)や、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベント(MICE=Meeting・Incentive Travel・Convention・Exhibition)など。2020年にはパシフィコ横浜に隣接するMICE施設が開業予定のほか、沖縄にも東海岸に新たな施設がオープンする計画であり、いち早くその動向を伝えてきた。
先進的な取り組みが目立つ海外レポートにも力を入れる。例えばラスベガスのホテル「マンダレイ・ベイ」ではコンベンション関連売上が50~60%に達すると報じる。近年発展が著しいマカオでも来年から再来年にかけ多くの大型ホテルがオープン予定であり、ファミリー層向けエンターテイメントの充実でカジノ一色のイメージ脱却を目指す姿をレポートする。
さらにカジノに関する話題は論説欄の「潮流」にも及ぶ。国内のIR推進修正案を「カジノ法案」とすることで誤解を招くとし、「カジノ以外でIRが発展する可能性」を訴える。
そんな同紙は電子版も持つため、企業の広報担当者にはより早くコンパクトな形でリリースを出すことを望む。石原氏は「まず見出しになりうる結論から書いてほしい」と指摘するとともに、「送付前に客観的に報じるに値する話題かを検討してもらいたい」と苦言を呈する。毎日のように報道資料を発表したり、調査結果を長々と述べたりする内容では速報性を重視する同紙としては扱いにくいようだ。
旅行業の広報担当者ならではの課題としては、海外メディアの対応に欠かせない「語学力」を挙げる。海外の展示会での取材経験も多い石原氏は「日本の各地域で働く観光広報の担当者は今後、業界の展示会で来日する海外の記者に直接対応を迫られるようになる」と提言する。
実際に国内の知名度は低くても、訪日客に人気の訪問先が数多くある。その埋もれた魅力を伝えるのが広報の役割でもある。「訪日客向けにまだ広く知られていない、各地の魅力を掘り起こしてほしい」と期待を込める ...