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専門メディアの現場から

運賃問題、時短・効率化......過渡期を迎えた物流業界を真っ向から報じる『輸送経済』

輸送経済新聞社『輸送経済』

業界ごとに存在する数多くの専門メディア。広報担当者にとっては、メディア対応の登龍門となることも多いでしょう。その編集方針やヒット企画、注力テーマを聞き、関係構築のヒントを探ります。

「働き方改革」理想と現実
「働き方改革」により、業界全体で残業時間上限規制が適用される動きが進む。一方、ドライバー、配車スタッフなど荷主都合で動く現場では即応できぬ状況があることを事実に基づき報道。

ネット通販の急激な成長による宅配貨物増加の一方、深刻化する労働力不足を起因に、2017年に入り業界最大手のヤマト運輸では時間帯指定サービス見直しを始めた。アマゾンとの送料見直し交渉も話題となるなど、過渡期を迎えた物流業界の動きを追う専門紙『輸送経済』は1948年に創刊。

路線トラック分野を中心に扱う。読者は物流業管理職層が多いが、流通系の荷主、メーカーにも読まれる。同紙ではヤマトの宅配便総量抑制の問題が広く語られる以前から「送料無料でなく『当社が負担している』と表示しては」と指摘、業界の立場を代弁してきた。

紙面を開くと目に飛び込んでくるのが2面の「物流コンフィデンシャル」欄。コラム形式で取材先を匿名にしつつ、業界の構造的問題に鋭く迫る。

17年2月7日号では、ある小売業大手がセミナーで発表した物流現場向けシステムの説明を聞いた記者による報告が掲載された。スタッフを最適に配置するシステムについて自慢げに説明されたそうだが、実はある物流会社が開発したシステムだった。物流会社サイドは「勝手に紹介され困っている」と証言、流通大手に横取りされる物流業の悲哀を伝える。

他にも「誰も知らない現場の本音 覆面座談会 ドライバーの昼メシ事情」(同年1月3日号)と題し「お昼は食べない」「コンプライアンスに口やかましい割に、危ない仕事はこっちに回ってくる」などリアルな不満の声を拾う。「取材源に配慮しつつ、現場の問題を報じるこの欄は各社広報担当さんからしばしば『ウチのことですか?』と問い合わせがあります」と『輸送経済』編集企画部編集統括の水谷周平氏は語る。

業界の地位向上や問題解決を目指す取り組みについて報じる機会も多い。ドライバー不足や交通渋滞の解消を目指し、地下鉄回送列車を使った鉄道や宅配大手による共同の荷物輸送実験などが代表例だ(16年9月20日号)。また現場で働く子育て層のため企業内託児所を設立する動きも報じる。他に現状改革のための提言も多い。

反面、業界全体で中小企業が多いこともあり、広報資料の作成に慣れている企業はまだまだ少ない。「例えば配送所や事業所などをオープンする際は事実だけでなく、その目的と見込んでいる効果、代表コメントなども欲しい」と水谷氏は言う。「3K(きつい、汚い、危険)の代表格と評されることもある業界を"事実"で変えるのも広報の役割であるべき」と各社の動きに期待を寄せている ...

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