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専門メディアの現場から

「写真を守る」著作権特集が完売 権利と表現のはざまで問題提起

朝日新聞出版『アサヒカメラ』

業界ごとに存在する数多くの専門メディア。広報担当者にとっては、メディア対応の登龍門となることも多いでしょう。その編集方針やヒット企画、注力テーマを聞き、関係構築のヒントを探ります。

"写真泥棒"を追い込む 方法を教える(17年2月号)
「写真を無断使用する"泥棒"を追い込むための損害賠償&削除要請マニュアル」では相手先に出すメール、内容証明郵便で織り込むべき諸注意など具体的に文例まで提示。

2016年末、論議を呼んだまとめサイトの記事無断使用問題。これを受け、老舗写真誌『アサヒカメラ』は2017年2月号で著作物としての写真を守るため、相手先への抗議文の出し方から損害賠償の請求方法まで教える特集を組んだ。すると同号は売り切れ続出、次号でも同内容の再掲載となった。同誌編集長の佐々木広人氏は「即使えるよう、対抗措置を実践マニュアル式で組んだのが功を奏しました」と語る。

同誌では以前から、写真の著作権のみならず被写体の肖像権や施設撮影の許諾問題なども論じてきた。佐々木氏が各地でカメラ好きの集まりに参加するたびに「スナップ写真が撮りにくくなっている」という悩みの声を聞く機会が増えたことも後押しした。例えば2016年11月号「SNS時代の肖像権とスナップを考える」ではプロカメラマンが「(他人の姿を)許諾を得ずに撮ることもある。ただし撮影後に礼を言うなり会釈して暗黙の了解を取る」と問題解決のヒントを伝えている。

被写体になり得る施設を保有する企業広報担当者も学ぶべき点は多い。2016年8月号の特集「都市を撮る」では、写真集『工場萌え』(東京書籍)に携わった写真家・大山顕氏のこんなエピソードを伝えている。実は工場敷地内に無断侵入し撮影したことがあるが、会社として記録を残していなかった工場側から10年後に「よく撮っておいてくれました」と感謝されたことがあるという。

一般に「施設管理権」により管理者には撮影可否の設定が認められる。しかし「著作権および対抗する肖像権や施設の撮影許諾、どちらも行き過ぎた権利意識は文化の醸成を阻みかねません」と佐々木氏は警告する。広報は多数の表現者に力を借りることの多い立場だけに、権利と表現について考えさせられる問題提起だ。

中心読者は50代以上の写真撮影を趣味とする層。最近はカメラ機材のみでなく、画像データ保存の話題も扱う(2017年1月号)。メモリーカードやHDD、クラウド保存サービスなどを比較紹介しており、無料で使える「Googleフォト」や大容量データを保存するのに向く「Amazonプライム・フォト」などの使い勝手を伝える。

「読者は可処分所得の高い行動的な層なので、カメラ周りの様々な情報が効果的に伝わる。今後、自動車や保険、電車、飛行機など撮影を楽しむために役立つあらゆる商品も扱う可能性があり、情報提供を期待します」と佐々木氏は熱を込める ...

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