EC販売で気軽に買える、本格的な抹茶スイーツが人気の「伊藤久右衛門」。リアル店舗が京都のみの同社は、20年以上前からECモールへの出店を行っている。SNSやリアル店舗と連携した商品開発・ECモールの運用方法について話を聞いた。
今年で創業から190年を迎える京都の老舗茶屋、伊藤久右衛門。京都の6店舗と並行してECも展開し、抹茶スイーツ中心のラインアップが人気を集めている。過去には楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞。EC担当者向けのセミナーにも多くの登壇実績がある。今回は、Web業務全般を担当するWEB営業部の足立容子氏に話を聞いた。
「伊藤久右衛門のリアル店舗に来店するお客さまは、京都に観光に来ている方がほとんどです。店舗は全国展開していないため、『京都に来たら行きたいお店』と言ってくださる方もいます。その一方で、リアル店舗の販売だけでは対象顧客が限られてしまうのも事実。しかし、ECモールならば全国のお客さまに私たちの商品を届けることができます。さらなる顧客接点の拡大と、購買機会を創出できるのはECの利点ですよね」。
同社のEC運用は、京都では並ばなければ食べられない商品がオンライン上ではいつでも気軽に購入できるという利点を上手く活用している事例だといえる。また、普段はECモールで商品を購入している利用者が、京都旅行の際にリアル店舗を訪れることもあり、リピーター獲得や来店意欲の促進にも寄与しているという。
さらに、ECモールへの出店によるメリットは、リアル店舗だけでは出会えない客層と出会えることにある、と足立氏。リアル店舗には女性の来店者が比較的多いが、Amazonでは男性の購入が多いといった違いがあるのだという。一方、Yahoo!ショッピングやAmazonで購入する利用者の場合は、単品購入が多い傾向に。そのため「送料無料」の商品を展開し、低単価であっても購入しやすい工夫を行っている。モールの利用者属性ごとにプロモーションや商品を出し分けることができるのも、ECモールの魅力といえるだろう。
攻略法1
SNSとリアル店舗での声を商品開発に反映させる
また伊藤久右衛門では、ECモール上での商品開発において、利用者の特性だけではなく、SNSやリアル店舗での「伊藤久右衛門ファン」の反応も参考にしていると足立氏。宇治本店にはフランス帰りのパティシエが商品開発を行う「ラボ」があり、そこで完成した商品をリアル店舗で販売・SNS投稿。反応が良かったものをEC用に改めて開発し、販売することもあるという。ECモールで一番人気となった「抹茶パフェ...