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ヒットの仕掛け人に聞く

ビールに新たな選択肢を提案する「ビアボール」市場の再活性化を目指す

サントリー/ビアボール

2022年秋に発売したサントリー「ビアボール」は、ビールを炭酸水で割って飲むという、ビールの新たな楽しみ方を提案する商品だ。飲食店での先行販売やTikTokの活用など、「楽しさ」を訴求し、販売数を伸ばしている。

(※1)2023年4月末時点
(※2)2023年5月末時点、ビアボール1対炭酸水3の推奨比率による換算

    DATA

  • 商品名:ビアボール 334ml小瓶
  • 希望小売価格:768円(税込)
  • 主な販路:スーパー、コンビニエンスストアなど

楽しさのある商品でビール市場の再活性化を目指した

──「ビアボール」開発の背景を教えてください。

2021年の4月に立ち上がったイノベーション部はお客さまにビールの美味しさや楽しさをもう一度しっかりと伝え、苦戦が続くビール市場の再活性化をミッションにしています。「ビアボール」の開発における、着眼点のひとつがコロナ禍。在宅時間が増えたことで、DIYの流行など、自分で工夫をして生活を豊かにするという意識が芽生えたのではないかと考えたのがきっかけでしたね。

当社製品で言うと、ジャパニーズジン「翠(SUI)」や「こだわり酒場のレモンサワーの素」などの、割って楽しむお酒の市場が拡大していたこともあり、割ることで自分好みにつくって楽しむことができるビールがあればもっとお酒時間を豊かにできるのではないかというアイデアにたどりつきました。

また、若者やビールへの関与度が低い人に、もう一度ビールとの接点を持ってもらいたいという思いもあります。現在、ビールメーカー各社は多くの銘柄を販売していますよね、飲み比べるとそれぞれ素材、製法の違いから商品ならではの特長的な味わいがあり、その違いを感じることも楽しみの一つだと思っています。

ただ、ビール関与度が低い層にとっては味の違いを明確に伝え、感じてもらうことは少し難しいと思っています。実際、アンケート調査では、各社のビールの味わいの違いが分からないという声もありました。中でも着目したのは、ビールは「楽しくない」という声。「楽しくない」の真意は、ビールは決められた味や量、どことなく同じトンマナのパッケージ…と遊びが少ないこと。また、ぬるくなると美味しくなくなるからこそ、早く飲み切らないといけない、焦らされる、といったイメージから想起されるものだと思っています。

そこで着目したのが、ビールにDIY的要素を取り入れること。好きな濃さ、量で自分好みに自由につくることができる「ビアボール」が誕生しました。

商品
ビールを炭酸水で割って楽しむ「ビアボール」は、既存のビールとは異なる飲み方を提案することでビール市場活性化を目指して開発された。定番として氷をたっぷり入れたグラスに「ビアボール1対炭酸水3」の配合をすすめながらも、飲み方は消費者の自由に任せている。

飲酒における多様化が進むなかで、ビールへの関与度が低い層にビールの先入観を見直すきっかけとなり、ビールの楽しさを実感してもらうことを目指している。発表から家庭用向け商品の発売までに飲食店での先行販売期間を設け、体験機会の創出による販売への期待感醸成を狙った。

体験する機会をつくり、時流を生み出すための戦略

──新商品のプロモーションでは、どのようなことをされましたか。

2022年6月21日に「ビアボール」発売の記者発表を...

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