電子レンジでも冷たく調理できる「冷やし中華」で新境地開拓
個食需要の高まりに着目したニチレイフーズが2022年3月から発売を開始した冷凍食品「冷やし中華」。メディア、SNSを中心に電子レンジで調理しても冷たく仕上がるという驚きのある商品特徴の拡散に成功し、世代を問わず購買者を増やしている。
ヒットの仕掛け人に聞く
正栄デリシィは、会社のアイコンとなる商品として2017年「サク山チョコ次郎」を発売。商品とキャラクターの組み合わせによって、コミュニケーションとエンターテインメントの両立を実現。テレビCMも全国放送され人気が拡大中だ。
中島:当社はナッツやドライフルーツなどの輸入・販売を手がける正栄食品工業から菓子部門が独立し、2002年に設立されました。07年に社名を正栄デリシィに変更しています。チョコレートや焼き菓子を中心に、親会社の主力商品であるナッツやドライフルーツを組み合わせた商品などを展開しています。
堅実に実績を重ねてきた一方で、キャラクターやロゴですぐに想起してもらえるようなアイコン的な商品はありませんでした。そこで、15年に代表となるような商品の企画と開発がスタートしました。
中島:チョコレートとビスケットを使った商品とキャラクターを組み合わせて、世界観をつくり上げられるように、並行して開発を進めました。
商品は、単にチョコレートとビスケットを使ったものからもう一歩進んだ、存在感のあるものを目指しました。キャラクターについては、商品と合わせたストーリーを立て、エンターテインメントとコミュニケーションの両立を目指しました。
当初、ターゲットには小学校低学年くらいのお子さまとその母親を想定していました。近年は母親も共働きなどで忙しく、子どもと会話する時間もないのではないかと考え、お菓子が会話のきっかけになるよう、キャラクターの「チョコジロー」の表情をチョコレートに型取り、「チョコジロー語」をビスケット面に印字しました。チョコジローに関する背景の設定も含めて、商品そのものがおいしくて、楽しい会話の起点になることを目指しました。そこで面白さを感じてもらい、拡散につながればと考えました。
商品
商品、名称、キャラクターで誰もがそれとイメージできるアイコン的商品を目指して開発された「サク山チョコ次郎」。厚みのあるチョコレートと、サクサクした食感のビスケットを組み合わせ、双方をいっときに味わえるように工夫されている。食感が違うチョコレートとビスケットの一体感を高めるため、チョコレートの中にミルククリームを入れた2層構造になっている。製造に際しては工場に新規設備を導入。菓子メーカーとして培った技術が生かされている。
中島:パッケージだけでは伝えきれない世界観を、動画などのコンテンツで発信しました。当社の公式サイトから見られる動画は「チョコジロー絵描き歌」や「チョコジロー体操」など、親子で楽しんでもらえる内容になっています。発売を開始したころには、子ども向けのコンテンツを配信しているYouTuberやSNSのインフルエンサーとコラボレーションして商品を紹介してもらいました。
発売時はコロナ禍前だったので、17年には渋谷と新宿で、19年にも秋葉原でサンプリングを実施しました。渋谷と新宿は販売開始時の認知獲得を目指して...