毎週の配信番組数は600本を超えるTVer。2022年4月には大幅なリニューアルを実施し、地上波放送のリアルタイム配信も開始。2022年10月期放送のドラマ『Silent』(フジテレビ系)はSNSでの話題化も背景に過去最高の再生回数も記録した。
- 商品名:TVer
- サービス使用料:無料
- 視聴可能デバイス:スマートフォン、PC、タブレットなど
DATA
配信番組の増加が利用を促進
──2015年のサービスローンチ以降利用者数を伸ばしてきた背景は。
シンプルに配信番組数が増えたことだと考えています。やはりテレビのコンテンツ力は圧倒的だと思います。すでに認知されているコンテンツがいつでも、どこでも見られるTVerは、放送局由来の高品質なコンテンツをたくさん載せられたことが成長の基本になっています。
テレビというメディアは、長い間エンターテインメントツールのキングオブキングでした。その価値は、基本的にテレビの画面の前で何人の人が見ているかという点にありました。
しかし、近年は生活の多様化やスマートフォンの普及もあり、テレビ以外での動画視聴が増えました。インターネットに接続できれば、いつでも、どこでも見ることができるTVerも含めて、そのような場所で番組を配信し、テレビ受像機以外での視聴を増やすことはテレビの価値をそこなうのではないかという懸念は長く持たれていました。
もちろん、テレビのリアルタイム視聴は今も価値がありますが、視聴者はもっと自分の生活様式に合わせて番組を見たい。SNSで話題化した番組をキャッチアップしたいというニーズも増えています。このような視聴者のインサイトを受けてテレビ業界側が“番組は見られてなんぼ”という文化に変わってきたことも背景です。
──配信番組が増えたとのことですが、現状の配信番組数は。
今、レギュラーで約600番組です。サービス開始当初が50番組くらいだったのでかなり増えたと思います。YouTubeのようなユーザージェネレイテッドなサービスを除いた、プロフェショナルが制作するコンテンツを配信しているNetflixやAmazonプライムなどのサービスでも毎週600作品も配信しているところはない。
一方で、ほかの配信サービスはアーカイブもあるので常時何千という作品がありますが、TVerは毎週消えていくので600しかないとも言えます。YouTubeをはじめ、デジタルサービスは一度何らかのコンテンツを見ると、それに近いものがレコメンドされるようになります。
TVerはそういうサービスではなくて、話題になった番組を多少の時間差があっても、ほぼ同時に見てもらうことで共通の体験を提供し、テレビの良さを伝えていきたい。昔はみんながテレビで同じ番組を見ていて、学校や職場で話題にしていました、そうした「共視聴」の世界観をTVerでも表現したいと考えています。