いかにしてお酒を飲む人と飲まない人がともに心地よく過ごせる文化をつくり出すか。アサヒビールが電通デジタルと合弁会社を設立し、「スマートドリンキング」というスタイルを広めるべく、まずはリアルなバーを渋谷に出店。デジタルデータを駆使した試みも行っていく。
飲食業界においてソフトドリンクとは別に、ノンアルコールドリンクがメニューにあることは珍しいものではなくなった。お酒を“飲めない”のではなく、あえて“飲まない”「ソーバーキュリアス」という価値観や、飲酒による不適切な言動を防ぐ「レスポンシブルドリンキング」の考え方の普及、健康志向など、世界的に起きているアルコールとの関わり方の変化が大きい。
これに呼応し、2020年12月にアサヒビールではお酒を飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指す「スマートドリンキング」を宣言。2022年1月には電通デジタルと合弁会社、スマドリを設立。お酒を飲まない/飲めない人に焦点を当て、デジタルを中心にしたコミュニケーション活動やマーケティングリサーチを行っている。
同社の調査によると、20代から60代の人口約8000万人のうち、半数がお酒を飲めない、もしくはあえて飲まないことを選択。さらにそのなかの3割超にあたる1330万人が「お酒は飲めない/飲まないけれど、飲みの場は好き」だという。この結果を受けて、お酒を飲まない/飲めない層を新たなターゲットとし、そのライフスタイルに合わせたアルコールの飲み方・楽しみ方の選択肢の提案に挑んでいる。
その活動の一環として2022年6月30日にオープンしたのが「SUMADORI-BAR SHIBUYA」だ。渋谷センター街の中ほどにある地上2階の店舗では、お酒を飲めない人が、お酒を飲む人との時間を楽しく過ごせる仕掛けが随所にほどこされている。
ドリンクメニューは、各人の好みや体質に合ったドリンクを見つけられるようにと、それぞれ0%・0.5%・3%の3つのアルコール度数でカスタムオーダーができる。注文はLINEアプリから行い、支払いはキャッシュレスがメイン。店内はセルフサービスで、アルコール入りでもなしでも提供価格は同じだ。
各々がアプリごとに個別にオーダーできるので、アルコールなしで飲んでいても、度数の区別を視認できるのは提供時につけるアルコール度数を入れたコースターのみなので...