丸井グループでは、新しい小売の形として「売らない店」づくりに注力を始めた。フラッグシップストアである有楽町マルイでは、2022年3月に8階フロアをリニューアル。3月19日にオープンした「NAKED FLOWERS FOR YOU」をはじめとする、リアル店舗ならではの体験価値を提供する店づくりとは。
過当競争・過剰生産からサステナブルな社会への理解の浸透による消費行動の変化、そしてコロナ禍によるオンライン市場への急速な移行で店舗のあり方は大きな岐路を迎えている。
丸井グループではリアル店舗を「オンラインとオフラインの融合のプラットフォーム」と考え、モノを買うだけの場から、体験の場づくりに舵を切る「売らない店」づくりを進めている。
そのフラッグシップストアとして位置づけられた有楽町マルイでは、2022年3月に8階フロアを大きくリニューアル。フロア内に8つのイベントスペースを作り、展示内容に合わせてスペースを組み合わせながら1〜2週間単位で展示が入れ替わる。年間で140前後、アニメやゲーム関連を中心に、芸能人の写真展なども実施している。
フロアの目玉となるのが、同年3月19日にオープンした「NAKED FLOWERS FOR YOU」だ。2016年より国内外で体験型のデジタルアート展を展開してきたネイキッドによる初めての常設展示となる。リアルな装飾と壮大なデジタルアート、そこに音楽や香りなどを加えた五感を刺激する空間体験で知られているが、今回は来場者のその日の状態に合わせてパーソナライズされた体験を提供している。
ファッションやメイクの分野では、個人のタイプを分類するパーソナルカラーや骨格診断など、自分をより魅力的に見せるための自己分析が人気となっている。今回は楽しむ空間自体をカスタマイズし、来場者の内面を輝かせる狙いがある。
まず入場時にフィトセラピー(植物療法)を取り入れたプロフィール診断と画像解析データ、その日の気分などを組み合わせた個人データを作成。そのデータを記録したQRコードを各エリアで使うと、各人に合わせた花のアート演出が繰り広げられる仕組みだ。自分のために...