スウェーデン発のファッションブランドH&Mは、同社の不良品をアップサイクルした素材を使った什器を導入した路面店を池袋にオープンした。商品や素材などを含めた100%循環型のビジネスモデルや働き方、経営スタイルを通して真にサステナブルな企業を目指す取り組みが注目されている。
2022年3月1日にオープンしたH&M 池袋店は、路面店としては2019年にリニューアルオープンしたH&M 戎橋店(大阪市)以来、そして都内の路面店としては2009年のH&M 原宿店以来の新規出店だ。売り場面積は約1000㎡で、フラッグシップストアと位置付けられている原宿や新宿のおよそ3分の1の広さ。3フロア構成で、レディース・メンズと10代などの若者世代をターゲットとするDIVIDEDラインを取り扱う。
池袋駅は世界でも3番目に利用客が多く、2008年に日本に上陸した当初から重要なエリアとして出店を視野に入れていた。近年の池袋は再開発で再注目されており、新規出店により多くの顧客がH&Mを身近に感じ、利用してもらう狙いがある。
池袋店で新たに導入されたのが、不良品をアップサイクルした什器だ。使われている素材「PANECO®」は、廃棄衣料品に含まれるほとんどの繊維を原料にすることができるサステナブル循環型繊維リサイクルボード。今回はすべてH&Mジャパンで発生した不良品のみを原料としている。衣類を繊維レベルまで分解したものに接着剤を加え、プレス加工。繊維含有量は90%以上でありながら、木質繊維板とほぼ同様の強度があり、木材のように加工でき、幅広く活用可能だ。また、PANECO®は使用したあとに粉砕して再生利用できる、循環型什器となっている。
さらにデザイン会社ワークスタジオと制作したのが、パイプを組み合わせた什器だ。鉄よりも低い温度で溶ける性質があり、リサイクルしやすいアルミを使用。日本の寺社建築などで使われている「ほぞ構造」の技術を使い、パイプ同士の凸凹を合わせて組み立てる。軽く、簡単に解体できるため、店舗内での使いまわしも可能で、運送の際に棒状にまで解体できるなど...