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1億総『小売り』ECビジネス

漁協運営のオンラインストア 細かな情報発信でファンを増やす

阿部正幸氏(綾里漁協オンライン)

水揚げ当日のウニを購入することができる「綾里(りょうり)漁協オンライン」は、漁協直営のオンラインストアだ。ほかには真似できない、水揚げ当日の直送ということもあり、ファンも多い。顧客が定着する背景には、細かな情報発信や顧客とのコミュニケーションがあるという。

綾里漁協オンラインストア。

販路拡大を目的として立ち上げた

──綾里漁協とオンラインストアについて教えてください。

岩手県大船渡市の綾里地区は、世界三大漁場である三陸漁場に面しており、豊富な水産物が自慢なのですが、近年は地球温暖化の影響によって、三陸全体で不漁が深刻化しています。オンラインストア「綾里漁協オンライン」では、限りある漁業資源の価値を高めて販売できるよう、ウニや、漁業者自身が加工した商品を取り扱っています。

綾里漁協は以前から、消費者への直販に取り組んできました。「恋し浜ホタテ」など、水産物の販売では震災前から活発な取り組みがあります。さらに被災地支援をきっかけに、様々な交流が地元漁師と都会の消費者の間で生まれ、その縁は今も続いています。ただ、コロナ禍の中、生ウニの販路が制限されるなど、新たな打開策が必要になりました。そこで立ち上げたのが、綾里漁協オンラインです。

急遽立ち上げたオンラインストアではありますが、最初からSNSなどで本当に多くの方がシェアをしてくれました。それは、「恋し浜ホタテ」のファン、被災地支援で駆けつけてくれた人、地元漁師の知人、といったように様々なきっかけで、綾里のファンとなってくれた方々でした。そういったつながりに支えられ、初年度から想定以上の売上となり、オンラインストアを軌道に乗せることができました。

また、漁協女性部のおかあさん方が考案した加工品を販売するなど、生産者自身が六次化に取り組むきっかけにもなっています。

──ファンからはどのような反響がありますか?

やはり一番はウニの味です。水揚げ当日のウニを漁港直送で発送しているので、最高の鮮度のものを食べていただくことができます。東日本には水揚げして24時間以内に届くわけで、これ以上の鮮度でウニを食べることはお寿司屋さんでも難しいでしょう。ミョウバンなど添加物も一切使用していません。

そういった点を評価いただいているので、購入していただける方の多くがリピーターです。

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