様々なECプラットフォームが存在する今、誰でも気軽にECを始めることができる。しかし、立ち上げることができても、売上を上げて、継続させるというのは、簡単ではない。全国のEC担当者を応援する川添隆氏に注視すべきことについて話を聞いた。
ECが世の中に浸透してきた歴史を振り返ってみると、世界各国それぞれ、その浸透レベルが違います。アメリカでは、店舗の網羅性を考えるとECがなければ生活できないというほど必要なチャネルとしてECは広がり、今ではEC大国になっています。
誰でもECを始められる1億総小売時代に
日本はというと、人口に対して店舗数が多かったとされるため、常にECは店舗と比較されてきた歴史があります。例えば、2000年前後に楽天市場やAmazonが出てきたタイミングでは、店舗より、安くて品揃えがよいことがメリットとして利用されていました。そのあとに、店舗にわざわざ行かなくても、商品が買えるという利便性の面に注目が集まり、ECの利用が拡大しました。
このようなECの歴史があったからこそ、ユーザー側はコロナ禍になっても、ためらいなくECを利用できたのだと思います。特にコロナ禍初期では、生活家電などの生活環境を整える商品のECが短期的に好調で、Uber Eatsや出前館などのフードデリバリー系サービスは継続的に利用されています。
しかし、コロナ禍のアメリカでは食料品のEC化が一気に進んだのに対して、日本ではこの1年くらいで各社がネットスーパーを強化し始めているという状態です。ただ特徴的なのは「メルカリShops」では、農家自身が食材を出品して、それが売れるという特殊なマーケットができ始めていることです。
私自身、今後注目しているのが、クリエイターエコノミーの文脈で拡大するP2C市場です。インフルエンサーを含めてクリエイターがモノやデジタルコンテンツなどをオンライン販売する動きは、グローバルでも同じことが起きています。まさに1億総小売時代がやってきているのを感じています。
日本ブランドが注視すべき海外ECの動き
フードデリバリー、農家、クリエイターなど、どんどん国内のECが活況になっていく中で、事業者側が見逃してはいけないのが、越境してきている海外ECです。特にアパレルがわかりやすいのですが、中国発ファッションブランドの「SHEIN」や韓国のファッションモールなどが日本に進出し、劇的に流通総額を伸ばしています。国内のアパレルメーカーやECは食われている状況を理解すべきでしょう。過去のファストファッション上陸と同様ですが、外資のシェアが高まっているのは間違いないです。
もちろんこれは、アパレルや若年層だけの問題ではなく、同じようなケースは増えるはずです。日本のメーカー・小売は...