1億総小売時代に見極める EC事業者が知っておくべきこと
様々なECプラットフォームが存在する今、誰でも気軽にECを始めることができる。しかし、立ち上げることができても、売上を上げて、継続させるというのは、簡単ではない。全国のEC担当者を応援する川添隆氏に注視すべきことについて話を聞いた。
もともと当社は、インバウンドのお客さまに向けて、金沢でのお料理体験など、体験を軸とした観光を提供する事業を展開していました。しかし、新型コロナの影響でお客さまが激減してしまい、会社を継続していくためには、新しい事業の立ち上げが急務になっていました。
金沢市民の台所と呼ばれる「近江町市場」は料亭など、食のプロたちが買い出しに来る、質の良い食材が揃う活気ある市場でした。しかし、コロナ禍で近江町市場自体も、来場者数が減り、閑散とした状態となっており、一緒に何かできないかと考えた末に、ECサイト「金澤 おみちょ イチバのハコ」を立ち上げに至りました。
「イチバのハコ」は、食材を単品で販売するのではなく、目利きのプロが近江町市場の各店から厳選した旬の食材をレシピとともに組み合わせて「ハコ」という形で商品を販売しています。季節によって変わりますが、例えば「金沢おでんのハコ」というように、金沢おでんの具材とお出汁が全部セットになっているものや、牡蠣鍋のセットなど、様々な商品を用意。ラインナップは、季節に合う食材など、コンセプトを決め、市場の各店舗の方と相談しながらつくっています。
近江町市場に来られなくても、ECを通して、市場で買い物しているような感覚を味わっていただきたいと思います。
顧客層は、女性が7、8割ぐらいで、年齢は40~50代が最も多いです。石川県の方が県外の方に送るときに利用されたり、東京や大阪などの都市部をはじめ、岐阜県や三重県など、特産物がかぶっていないような県からも購入いただいています。
ほかのECと比較しても、リピーターの割合が高いのが「イチバのハコ」の特徴です。今年初めに新商品として出した「ぶりしゃぶのハコ」は天然のぶりの熟成から商品の完成までの過程をSNSにアップしたところ、お客さまが一緒に商品が出来上がっていく工程を心待ちにしてくださり、会員さま限定で1日だけ先行販売をしたところ...