初めてネットショップを開設する場合、どういった視点でサービスを選定し、運用すればよいのか悩む場合も多い。ここではネットショップ作成サービス「BASE」を運営するBASE COOの山村氏がネットショップの持続性を高めるポイントについて実例を交えて解説する。
「BASE」は、ものづくりをする個人・法人、地域活性を支援する自治体等の行政をはじめ、180万を超えるショップにご利用いただいているネットショップ作成サービスです。
商品開発担当者が1カ月でネットショップを開設
富士急行は、富士山麓のテーマパーク「富士急ハイランド」をはじめとしたアミューズメント、鉄道・バス、ホテルなど多様な事業を展開する企業です。2020年から「BASE」を活用いただいており、遊園地事業や鉄道・バス事業など7つのネットショップを展開しています(2022年6月時点)。
同社が「BASE」でネットショップを立ち上げたきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大でした。人の移動が制限され、主力の遊園地事業や鉄道事業が大きな影響を受ける中、ネットショップの増強を決定しました。それまでもグループ会社が独自に運営するネットショップは存在していましたが、今回は商品開発チームが方針を決めてネットショップを立ち上げ、各事業会社のスタッフが運営するというプロジェクトをスタートさせました。
当時、既存のネットショップの更新作業にはHTMLなどの知識が必要な状態で、Webの知見がある担当者でなければ「なにも操作できない状態」に陥っていました。そのため、新しくネットショップを立ち上げる際には「Webの知識が無くても運営できる」サービスを第一に検討しました。同時に、プロジェクトとしてははじめての試みで、売上の目処も立てづらい状況だったため、「費用をかけずにショップをつくる」ことにも重点を置いて検討を進めたそうです。
最終的に、1カ月の準備期間でネットショップを公開できる「簡易な操作性」と、富士急グループ各社の「独自性」を表現できるデザインテンプレートの豊富さなども加味し、「BASE」をご利用いただいています。EC立ち上げ当初は、関東圏のお客さまが大多数と予想していたようですが、蓋を開けてみると北海道から沖縄まで日本全国から注文が届き、ECでの売上も拡大しているようです。
同社のようにプロジェクトや規模の小さな事業部起点でECを立ち上げる際に、エンジニアやデザイナーが常駐していないという状況は多々見受けられます。その際に、専門知識が無くてもネットショップを開設し、その後も運用・更新し続けられるかという視点はショップ運営を持続させる上で...