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その常識を疑おう

カスタマージャーニーの良さを活かすための考え方とは

高橋孝之(ホジョセン)

常識と考えられていることについて、実はそうではないと提言していく本連載。今回のテーマは「カスタマージャーニー」。顧客の行動を可視化するツールだ。企業目線の間違ったものをつくらないように、著者が解説していく。

    常識7 カスタマージャーニーはつくればいい

    ▷AIDMAなどの行動モデルでジャーニーをつくってはいけない

    ▷問題解決プロセスにおける自ブランドの役割を考えよう

    ▷カスタマージャーニーは消費者の学習ジャーニーと考えよう

当たり前に受け入れられている常識を、一歩下がって疑うことで本質を炙り出す連載「その常識を疑おう」、第7回目のテーマは「カスタマージャーニー」です。マップという形で見える化されることの多いカスタマージャーニーは、その見た目のわかりやすさもあってか、多くの企業・ブランドに取り入れられているようです。

ただ、このカスタマージャーニーマップ、実のところ戦略上の意思決定や明確なアクションへと落とし込むのがとても難しい代物だとも考えています。そしてカスタマージャーニーマップをもとに意思決定をしなければならない事情から、本来のカスタマージャーニーからは乖離したものが世の中にたくさん転がっているようにも思います。

問題解決には様々な選択肢が

洗剤やシャンプーのような生活必需品以外のカテゴリーでは、購買ニーズやウォンツが自動的に発生するということはほとんどありません。例えば「ちょっと太ってきたな」と感じたときには、ジムに行く、自転車通勤にする、サプリを飲む、キノコダイエットに手を染める、など様々な選択肢が存在しています。もちろん、何もしない、という選択肢だって保持しています。一般的に、消費者は自分自身の抱える問題について、幅広いカテゴリーの中から解決策を探します。

カスタマージャーニーを考える上で重要な概念のひとつに「トリガー」があります。トリガーとは、きっかけ、ジャーニーを進むきっかけになるようなイベントのことです。

上記の例では、「太ってきたな」と感じるきっかけ、「サプリを飲もう」と考えるきっかけ、などです。そのきっかけがあって、サプリについて情報探索を始める。でも、その過程で「やっぱりジムに行こう」などと心変わりをすることもしばしばでしょう。その心変わりのきっかけもトリガーのひとつです。消費者は、積極的か消極的かはともかく、様々な情報を処理しながら自分自身が抱える問題の解決へと動いているわけです。

この情報の処理プロセスこそが、カスタマージャーニーの...

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