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非対面の接客ツールであるPOP制作における重要な視点と求められること

杉原真人、大岩將人(スコープ)

対面接客におけるリスクが高い今、非対面の接客ツールであるPOPの価値は高まっている。ここでは、おさらいを含めて、POP制作における重要な視点と、今後のPOPの在り方について解説する。

新型コロナウイルス感染拡大を契機に新しい生活様式へのシフトが進み、EC市場の売上が伸長するなど買い物行動も大きく変化しています。しかし、今日もリアル店舗に足を運べば、多種多様なPOPを目にします。

POP(購買時点広告)はセールスプロモーション(以下SP)ツールのひとつであり、店頭でお客さまにメッセージを伝え購買を後押しする、対面接触を必要としない販促手段です。店頭のぼりや天吊り大型ポスターから陳列棚に取り付けるショーカードまで、様々なサイズ・形状のPOPが使用されます。

広告とSPの違いとは

それでは、同様に生活者にメッセージを発信する広告とSPの違いはどこにあるのでしょうか。

両者の境はシームレス化が進んでいますが、その違いは元来の目的にあります。広告とは文字通り「広く告げる」こと。そこで期待される効果は認知の獲得であり、態度変容を導くものといえます。一方、SPはお客さまを「動かす」ことが目的であり、POPには店頭でお客さまに今、この商品を購入していただく行動変容のスイッチとしての機能が求められます。

様々な店舗で自作POPが見られるように、その作成自体は特別なことではありません。しかし、「その場でお客さまを動かす」という目的達成にはポイントが存在します。今回は商品周りでその価値を訴求するPOPを想定して、当社が留意している制作視点をいくつかご紹介します。

知らせたいこと≠知りたいこと

店頭にはこだわりを持って開発、あるいは仕入れた商品が並び、各々に売り手の意図があります。そしてその意図を知ってもらうために制作されたPOPがよく見受けられます。例えば、お惣菜のPOPでは「国産豚肉を使用しています」といったように原料や製法などの商品スペックを表示した例などです。それらは誤りではありませんし効果的なケースもあるのですが、売り手の伝えたい情報=お客さまが知りたい情報なのか?を一度検討してみることも必要です。

いかに「商品を手に取ってみよう」「試してみたい」という気持ちにさせるかがPOPの使命ですから、お客さまには「この商品は私に必要だ」「購入するとこんな体験ができそう」と感じてもらわなければなりません。

そのためにはスペックのみを伝えるインフォメーションではなく、そこから生まれる満足体験を想起させるモチベーションに軸足を置いたメッセージが有効といえるでしょう。食品POPを題材に、その主な切り口を挙げていきます。

①社会ゴトや数値の活用

コンテスト金賞受賞、1日平均販売数1000個、など第三者の評価やデータの提示により「皆がそうなら⋯⋯」といった同調行動に導きます。

②共感できる価値基準への置き換え

行列店の味に挑戦、まるで果実のような食感の〇〇、のように多くのお客さまが自身の見聞や体験を通じて自分ゴトとして想像できる判断基準に置き換えて、商品のポイントを伝えます。

③誰もが持つ普遍的な心理に訴える

五感を刺激しておいしい記憶を呼び起こしたり、安心感のある身近な人からのメッセージを用いるアプローチです。前者の例としては直感的においしそうと感じるシズル写真や擬音語・擬態語によるシズルワードを使ったPOP(図1)、後者は店員からお客さまに発信するおすすめPOPなどが挙げられます。

図1 モチベーションに視点を置いたPOP比較例

図1のPOPを比較すると、写真1点を使用という条件は同じですがⒶよりもⒷの方が食指を刺激する表現といえます。

購買行動に関するデータは日々増加しています。効果検証の面でも新しい動きが予想され、今後は顧客属性や時間帯など様々な要因でメッセージの切り口も多様化していくでしょう。制作にあたっては誤解を生むような不当表示は決して許されませんが、お客さまに響くメッセージの検討はこれからもPOP制作に欠かせないステップです。

POPのデザインの基本と効果

次はツールとしてのPOP特性を考慮して効果的な表現とするためのポイントです。

店内の多くのお客さまの視線は陳列棚を回遊しています。上場(約2m以上)を見る主な目的は、売場を探すためと考えてよいでしょう。

こうした店内の買い物行動に即して、POPも取り付け位置の高さやお客さまからの距離に応じた役割と訴求構成の基本があります(図2)

図2 POP展開場所と訴求のすみ分け

大まかにいえば天吊りポスターなど高く遠い場所に取り付けるものは「売場探し」に対応するツールです。フロア全体規模の催事感演出に使用されることもありますが、サイズは大型・情報量は絞り込んで表示します。

次に陳列棚上に取り付けるボード類は「商品探し」をサポートする役割を持ち、お客さまの注意を喚起しコーナーに呼び込む目的で使用します。その際は陳列内容の訴求など掲載要素がプラスされます。

最後に、お客さまに最も近い商品周りで展開するショーカードは、これまで述べてきたように購買の最後のひと押しを行います。その役割から、商品理解を促す説明やプライスなど購買時に必要な情報が表示されるため、掲載要素は...

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