販売促進の専門メディア

販促会議 企画コンペティション

「販促コンペ」受賞作から見るコロナ禍におけるプランニングのヒント

いまだ続くコロナ禍で、プランニングには大きな制限がかかっています。この状況下でも広告主企業の課題を解決するためには、どのようなプランニングが求められるのでしょうか。ここでは、第12回「販促コンペ」の受賞作の中から、いちはやくコロナ禍に対応した企画を紹介。受賞者に、コロナ禍でのプランニングのポイントを聞きました。


オンラインのコミュニケーションにおけるコップに着目!

審査員個人賞(尾上永晃氏)

取手のないマグカップ

森 智之(ジェイアール東日本企画)、熊澤健悟(ジェイアール東日本企画)

【課題内容】東亞合成/10〜20歳代の学生が「アロンアルフア」を楽しく使いたくなる企画

    概要

    コロナ禍で急増したオンラインコミュニケーションを「もっと楽しくする」という点から発想した本企画。リモートのミーティングや飲み会でも、画面内に入る確率が高く、日常的に使う物として「コップ」に着目。アロンアルフアと「取手のないマグカップ」をワンパッケージで販売し、取手として接着するものは購入者に委ねた。購入者は、自由に自分の好きなものを接着することで、自分を表現するオリジナルマグカップがつくれる。アロンアルフアの課題を解決しながら、オンラインコミュニケーションを円滑にする企画だ。

受賞者からのコメント

私たちは今、これまで通りの生活をおくることが難しくなっています。ただ、このような状況においてもプランニングすることの本質は変わらず、「体験価値の創造」だと考えています。私たちの生活のすべては体験でできています。リアルとバーチャルの間には境界はありません。なので、どのような状況でも体験している人々の顔を思い浮かべながら、プランニングすることが大切だと思います。たとえば、それが顔の見えない画面の向こうの誰かであっても同様です(ジェイアール東日本企画 森智之)。

“ワクワク”はいつの時代も人を動かす原動力です。また、人との出会いが制限され、ステイホームが余儀なくされる今だからこそ、人の心を動かす“ワクワク”がより際立つはずです。当たり前が当たり前ではなくなってしまった中で、想像を超えた妄想により、体験する人の顔を思い浮かべながら、“ワクワク”を軸にプランニングすることが重要だと考えています(ジェイアール東日本企画 熊澤健悟)。


ニューノーマルなファンづくり

審査員個人賞(石田琢二氏)

新麦 挽きたて便

岩田智紗子(DNPコミュニケーションデザイン)

【課題内容】敷島製パン/「超熟 国産小麦」のファン獲得

    概要

    1年に1回「新麦 挽きたて便」を送ることで、顧客とのつながりを強め、ファン獲得を狙う企画。「超熟 国産小麦」の原料「ゆめちから」に着目し、毎年新麦の収穫タイミングで挽きたての商品とともに、手書きの便りを同封してファンに届けるというもの。コロナ禍でファンとの接点づくりが難しくなった中で、ニューノーマルなブランディングとして、評価を受け、審査員個人賞を受賞した。

受賞者からのコメント

コロナでより強く意識するようになったことは、2つあります。1つは「温度感」。熱量や気持ちがのっているか、心が通っているか、です。ほとんどがオンラインとなり、個性や人らしさが伝わりづらい中、距離感を埋めようと努力しなければ、小手先の話にとどまりがちです。

私は意識的に自分のことを話すようにしたり、相手の話し方やペースなどを、しっかり読み取るようにしています。そうすることで、温度感も生まれ、企画にも熱量がのってくると思います。

2つ目は「今いるお客さまを大切にすること」です。先日、あるブランドのECを初めて利用し、購入数日後に「商品は届きましたか? 届いていなかったらこのサイトでご確認ください。その他にお困りごとがあればご連絡ください」とメールが来ました。

クーポンやレビューのお願いなど一切なく、この気づかいに私は嬉しくなりました。このブランドは私のことをターゲットではなく大切な顧客として見てくれている。コロナで誰しも焦りがある状況ですが、「新規顧客を増やしたい」という依頼をいただいたときも、必ず「今のお客さまに対してどう向き合っているか」について、整理することを心がけています。


家飲みからの購買がリアルに想像できるストーリー

審査員個人賞(長田麻衣氏)

家飲みマンガクーポン

大友景祐(中央アド新社)、宮田真雪(Fringe81)

【課題内容】パピレス/「Renta!」でマンガを買いたくなるアイデア

    概要

    本企画は、需要が高まった「家飲み」と「マンガ」の相性の良さに着目。酒類メーカーとコラボし、POPなどでクーポンを配布することで、「Renta!」でのマンガ購入を促すというもの。自宅で飲みながら無料マンガを読み、ほろ酔いで2巻以降を“ポチる姿”がリアルに想像でき、購入まで違和感なく受け入れられるストーリーが受賞につながった。

受賞者からのコメント

本企画で重視したポイントは2つ。1つ目は、「家飲み需要」という生活者のニーズから発想したことです。企画を考え始めたのは、オンライン飲み会や“家充”という言葉ができ、「家でも楽しく飲みたい」というニーズがちょうど高まっていた頃でした。今後も、変化する社会情勢の中から生まれた生活者のニーズを、キャッチアップして企画に応用していくスピード感がますます求められていくと思います。

2つ目は、あえてリアルなタッチポイントを設計したことです。「Renta!」はデジタルで完結するアプリですが、本企画ではお酒のPOPにマンガのクーポンを付け、コンビニやスーパーの店頭を最初の接点としました。コロナ禍の販促というとデジタル施策に発想が偏りがちですが(感染対策は大前提として)、あえてリアルなタッチポイントを設計することで、デジタルが中心になっていた生活者の目にも新鮮に映るかもしれません。


徹底した市場リサーチと商品理解が生んだ企画

協賛企業賞

プレ花嫁にアルソアを

野田美希(CDG)

【課題内容】アルソア本社/洗顔せっけん「アルソア クイーンシルバー」をクチコミしたくなるアイデア

    概要

    「アルソア クイーンシルバー」のターゲットの中でも、コロナによって結婚式を延期せざるを得なかった「プレ花嫁」に、名前を刻印した限定ケース入りの「クイーンシルバー」と、フェイシャルプランナーチケットをセットにしたギフトボックスを販売するという企画。市場動向に関するリサーチ力や課題の商品についての深い理解が受賞につながった。

受賞者からのコメント

コロナ禍において、企画の幅が制限されていることは感じていますが、一方でこの状況だからこそできる企画があるとも感じています。私が重視しているポイントは、私自身がコロナ禍で実際に体験したことや、心を動かされたことを企画に活かせるよう意識して取り組んでいます。

販促コンペで受賞できた本企画も、私自身が結婚式を延期せざるを得なかったこと、他に同じ境遇の方たちが今どんなふうに思っているのかリサーチしたこと、さらに企画検討にあたり実際にアルソアさまの店舗に足を運び接客を受け、「こんな企画があれば買ってみたくなるかなぁ」という当事者の気持ちを企画に落とし込みました。当たり前のことかもしれませんが、この状況だからこそシンプルに、商品やブランドに対して“気持ちが少しでも前向きになれるか”ということを、今後も大切にして企画を考えていきます。


リモート時代にファッションの新しい楽しみ方を提案

ゴールド

SET BACK

永井 絢(電通)、江野秀一(電通)、徳光一蕗(電通)

【課題内容】ZOZO/若者がゾゾタウンをおしゃれ・カッコいいと思い、より好きになってくれるアイデア

    概要

    コロナによって、リモート会議やオンラインでの飲み会が当たり前になった。本企画は、そのオンラインコミュニケーションの増加と共に、需要が高まる上半身コーデに着目し、トップスと一緒に、その服に似合うコーディネートがされた背景画像をセットで販売するというものだった。画面ごしが当たり前となる中、ファッションの新しい楽しみ方を提案した。

受賞者からのコメント

コロナ禍では、リモート会議だから下半身はパジャマでいい、といった手抜きの風潮があるように感じていましたが、「楽に過ごそう」ではなく、「リモートだからこそのファッションの新しい楽しみ方」がないか?という視点を大事にしました。普段の業務の中でのプランニングにおいても、視点を変えることで、現状を少しでもポジティブに思えるような企画を心がけています。

ただ、コロナに対しての考え方や心持ちは立場や環境によって様々だと思いますので、自分の気持ちだけでなく、いろんな人が見てどう感じるだろう?といった想像力を持つことを意識しています。なかなか大変な状況が続きますが、誰かの気持ちを上向きにできるような企画がつくれるよう、これからも頑張りたいと思います(永井・江野・徳光)。


社会的価値を取り入れ親子で共感できる企画に

ゴールド

PayPayこどもフリマ

永田優太朗(ジオメトリー・オグルヴィ・ジャパン)、脇田菜穂子(マッキャンエリクソン)、三橋智樹(BANANA)

【課題内容】ヤフー/フリマアプリ「PayPayフリマ」を思わず使ってみたくなるアイデア

    概要

    子どもが自ら売買できる子ども専用フリマを用意することで、「身の回りのモノをお金に換える」体験を通して、お金の仕組みやモノの大切さなどの学びを提供する企画。フリマアプリの社会的価値を教育の文脈を取り入れ、デジタルの接点に嫌悪感を示す親にも、使ってみよう、使わせてみようと思わせる点が評価された。

受賞者からのコメント

「コロナ禍でリアルなイベントができないから、デジタル中心の施策を..。」といった手法の話よりも、企画する上での、そもそものスタンスに大きな変化があったなと思います。社会全体が苦戦しているときだからこそ、「商品の魅力を伝えて終わり」ではなく、どうやったら世の中に“いい風を吹かせる存在”になれるか、という部分を意識して考えるようになりました。

その企業や商品のどの部分を引き出せば、世の中に対してポジティブな形で存在できるか。その広告は「商品の自己紹介」だけでなく、「誰かの応援」にもなっているか。そんなことを考えるようになりました。少し仰々しく聞こえてしまうかもしれませんが、結局は、いち生活者として「こんな世の中になったらいいな」という妄想を大切にしながら、目の前の課題に取り組むということかもしれません。


第12回グランプリ作品は?

第12回では、アイセイの「カラーコンタクトレンズを正しく使うことが楽しく思える」の課題に対して応募された「キャッツアイセイケース」がグランプリを受賞。ネコ型のケースにブラックライト機能をつけて、洗浄後のコンタクトレンズの汚れが落ちているかを見て確認できるコンタクトレンズのケースの企画アイデアだ。本作品は、協賛企業賞も同時受賞している。

販促会議 企画コンペティションの記事一覧

販促会議 企画コンペティションの記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する