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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

次の10年を見据え、挑む新事業

秋田ノーザンハピネッツ

「秋田県にプロスポーツチームを」というひとりの若者の思いから2009年に運営会社が設立されて誕生した秋田ノーザンハピネッツ。2010-11シーズンからbjリーグへ参入し、2016年からはB.LEAGUEに参加、2019-20シーズンは記念すべき10シーズンめを迎えている。19年にはオリジナルクラフトビール生産を発表し、新たな10年への挑戦もはじめている。

メインアリーナ「CNAアリーナ☆あきた」。2020年7月まで改修中。

地域との連携を意識した活動でファン獲得につながった

「秋田ノーザンハピネッツ」は2009年1月、水野勇気社長が「秋田にプロスポーツクラブを」と設立したバスケットボールクラブだ。10-11シーズンからbjリーグへ参入し、その後の国内リーグの統合を経て16-17シーズンからB.LEAGUEで活動している。

B1東地区で戦った16-17シーズンは総合16位に終わり、残留プレーオフ1回戦で敗れてB2降格となった。翌シーズンは東地区で優勝し、B1昇格プレーオフで決勝へ進出。準優勝し1年でB1への復帰を決めた。以降はB1を維持している。

ハピネッツのメインホームアリーナは、「CNAアリーナ☆あきた」(秋田市立体育館)。試合は、秋田県立体育館や能代市総合体育館などでも開催している。B1初年度は平均3058人を集め、B1所属18クラブ中、平均3000人を超えた6チームのひとつとなった。降格したシーズンこそ平均2897人と減少したが、B1復帰後は再び平均3227人と回復、今シーズンも第22節終了時点で平均3389人と動員は右肩上がりで推移している。

水野社長は「観客数は急増したのではなくbjリーグ時代からの積み重ねで成長してきたもの」と話す。

キーワードは「秋田」だ。bjリーグが地域密着を標榜していたこともあり、地元との固い結びつきは半ば必然でもあった。

また、アメリカやオーストラリアへ留学し、スポーツマネージメントを学んだ水野社長は「スポーツは、人々の一体感を生み出すコンテンツ。オリンピックが盛り上がるのは、メダル争いはもちろん、国同士が競い合うようすが、見る人のアイデンティティを刺激することも一因です。国内リーグでも同様で、地元の人たちがアイデンティティを感じられることが重要だと考えました」と話す。

試合前の「秋田県民歌」の斉唱は、設立当初から続けている。当初は音声を流すだけだったが、いまでは試合の登録選手がコートに整列したタイミングで、会場全体で歌うスタイルが定着した。

試合中にも工夫がある。会場ではアリーナDJのかけ声に合わせ、来場者が声援を送る場面があるが、その際チーム名を叫ぶパターンと、「秋田」と叫ぶパターンがある。「クラブが秋田のものであり、地元への思いを持っていることをファンと共有するため」だ。

一方、会場では太鼓などの鳴り物は禁止。バスケットボールやバレーボールのような屋内競技の定番応援グッズ「スティックバルーン(棒状の風船)」も使っていない。

「声を出してもらい、会場の一体感を生み出すことができる会場づくりを意識しています。大きな声を出せば、ストレス解消にもつながりますし、(リフレッシュできた人などが)『また行こう』と思ってもらえるのではないかと。こうした積み重ねの結果、いま、私たちの会場は日本のなかでも最も高い熱量を持っていると自負しています」(水野社長)

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10シーズンめを迎えた今季の目標は、総観客数10万人だ。ホームゲームは全30試合なので、単純計算で1試合あたり3300人以上が必要となる。22節終了時点で平均観客数3389人という数字は目標達成も夢ではないように思えるが、まだ、大きな課題が残されている …

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