“時短コスメ”を標榜する「Saborino(サボリーノ)」の主力商品、朝用マスク「目ざまシート」が2019年8月末までで、累計販売数4億枚に到達した。2015年4月の発売以降、「朝にフェイスマスクを使う」というアクションを、「習慣」の座に押し上げようとしている。手がけるのはスタイリングライフ・ホールディングス傘下のBCLカンパニー。部署横断型のチームで商品開発に当たっている。ここでは、同チームの御殿谷りえ氏と大小原碧里氏に話を聞いた。

自分たちをペルソナに欲しいものをつくりだす
──「Saborino(サボリーノ)目ざまシート」の販売状況はいかがですか。発売当初の目標設定は。
大小原碧里氏:ことし8月末の時点で4億枚を突破しました。その後も順調に販売数は伸びています。
「Saborino(サボリーノ)」ブランドを立ち上げたプロジェクトチームは、当社の、「社長直下のラボをつくる」制度の最初の取り組みとして2013年に結成されました。営業や販促、広報、商品企画といった部署を横断し、集められた社員5名に与えられたのは「自分たちの欲しいものをつくる」というミッションです。そのときは、売り上げ数値などの目標はありませんでした。
「目ざまシート」は、"朝用マスク"という、それまでの市場にない商品だったので、どれくらい売れるのかが未知数でした。販売枚数や売り上げについて、目標を追いかけるようになったのは発売してしばらく経ってからのことです。
それでも2015年4月の初回生産分はすぐに完売し、初年度の動きをふまえて、翌年は生産数を増やし、社内からの商品に対する期待も高まりました。2017年には、より本格的に会社として注力するブランドとして目標に向けて進めているのが現状です。
御殿谷りえ氏:もちろん従来からフェイスマスクという商品はあったのですが、使用シーンとして大きく「朝」をうたうものはありませんでした。基本的に、就寝前などにするもので、5分から15分といった時間が必要なスキンケアという固定観念があったのではないでしょうか。
それを朝、60秒という短時間でできるフェイスマスクをつくろう、と逆転の発想に至ったのが、ヒットのポイントだと思います。
──どのようにして、「好きなものをつくる」というミッションから、「目ざまシート」が生まれたのですか。
大小原氏:チームとして集まったものの、お互いにほぼ初対面の状態でした。まずは雑談しながら、商品アイデアを書き出しました。ポーチの中身を見せ合ったり、化粧の手順を説明したりしながら、生活する上で感じる課題をまとめていったんです。その中から、「朝」という言葉や、「めんどくさいを解決したい」というニーズを見つかりました …