2017年8月に発売した「シチューオンライス」は、発売初年度に約10億円を売り上げたヒット商品。ハウス食品が1966年に「ハウスシチューミクス」を発売したことにより、家庭料理として普及したクリームシチューは長年、多くの家庭で愛されてきた。しかし、その「クリームシチュー」も、時代の変化に合わせた提案が求められている。ファミリー層のインサイトから、商品開発に至った経緯について、ハウス食品の田村紘嗣氏に聞いた。

「クリームシチュー」の食べ方論争に着眼
──「シチューオンライス」の販売状況や手応えについて、教えてください。
初年度の2017年には約10億円を売り上げました。現在、ルウタイプでは「チキンフリカッセ風ソース」「ビーフストロガノフ風ソース」「カレークリームソース」の3種類をラインナップしていますが、チキンフリカッセがブランドの代名詞となるくらい、最も売れています。
ソーシャルメディアなどでは、「シチューオンライス」を使った料理を、「シチューライス」として投稿されることも増えています。このまま、「シチューライス」がカレーライスやハヤシライスのようなごはんにかける家庭料理のひとメニューとして定着し、「シチューライス」の概念が浸透していけば良いと考えています。
──商品の開発にはどのような背景や課題がありましたか。
「クリームシチュー」は、当社が1966年に「ハウスシチューミクス」を発売したことで日本の家庭料理として定着したメニューです。2011年以降、クリームシチューはダウントレンドになっていて、「1年に1回、商品を購入する」という層はほぼ変化がないのですが、2回以上購入する層はゆるやかに減っており、食べる頻度が落ちていることに気づきました。
その理由を探るためにBlabo(ブラボ)というマーケティング会社の協力を得て、Webで消費者の意見を聞くことにしました。「クリームシチューにまつわるモヤモヤ募集」というテーマで意見を聞いたところ「ごはんに合わない」「お酒に合わない」といった声が集まりました。
実は、これらの意見は昔から根強くあるものなのですが、その奥にある真の理由を探ることに大きな意味がありました。そこで着目したのは「シチューの旦那問題」と名付けた仮説です …