ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

ファーストキャビン 代表取締役社長
来海忠男(きまち・ただお)氏
北野建設を経て、2001年ファーストキャビンの母体であるプランテックグループのプランテック総合計画事務所に入所。08年代表取締役社長に就任(現任)。09年ファーストキャビン代表取締役社長に就任(兼任)。16年プランテック・ファシリティーズ代表取締役社長就任(兼任)。
カプセルホテルと違い部屋の中で立ち上がれる
ファーストキャビンは、従来のカプセルホテルのイメージを大きくくつがえした企業だ。飛行機のファーストクラスをイメージし、広くて清潔感のある空間が特徴。「コンパクト&ラグジュアリー」をブランドコンセプトにすえている。
2009年、大阪に1号店(ファーストキャビン御堂筋難波)をオープンして以来、現在は羽田空港、関西空港、東京、京都、博多など全国に23施設を展開。平均85~90%と高い宿泊率で稼働している。
売り上げも好調だ。直近3期では、2016年3月期が約6億8000万円、2017年3月期が約15億7900万円、2018年3月期は、宿泊施設の開業事業をファーストキャビン開発に継承させるかたちで会社分割したため、前期比で若干のマイナスとなったが、事業全体としては大きく伸びている。
「ファーストキャビンと一般のカプセルホテルとの違いは、天井高が2.1メートルあり、室内で立ち上がれることです。私たちはファーストキャビンをカプセルホテルとは呼んでいません。法令上はカプセルホテルと同じカテゴリーになりますが、ビジネスホテルでもなくカプセルホテルでもない"キャビンスタイルホテル"という、新たな領域を作り出したと考えています。利用者の支持を得て、ファーストキャビンの施設数は全国各地に増えてきており、キャビンスタイルホテルが必要な時代に差しかかっているという実感もあります」(ファーストキャビンの来海忠男社長)
部屋のタイプは「ファーストクラスキャビン」と「ビジネスクラスキャビン」の2タイプが基本だ。
ファーストクラスキャビンの広さは、4.4平方メートル。幅1.2メートルのセミダブルサイズベッドやサイドテーブルを備える。ベッドのみのカプセルホテルとは違って床部分があり、大きめの荷物を置くこともできる。
ビジネスクラスキャビンは、広さ2.5平方メートル。ベッドは幅1メートルのワイドサイズだ。どちらのタイプも、32インチ液晶テレビ(一部のビジネスクラスキャビンは26インチ)や鍵付き収納設備を備える。
料金は施設や季節、曜日などで異なるが、ファーストクラスキャビンが4000円~、ビジネスクラスキャビンは3000円~だ。
施設内には大浴場があり、ロビーやワークスペースといった共有スペースは、従来の一般的なビジネスホテルよりも広く上質な空間に作られている。
「近年、バンケット設備などを備えず、宿泊料金を従来タイプのホテルより安くした、宿泊特化型のホテルが増えてきました。さらに宿泊コストを抑えようとするとカプセルホテルがありますが、宿泊特化型ホテルとカプセルホテルの中間で、空間はコンパクトでもラグジュアリーさのある宿泊施設を求める人は、必ず存在すると考えていました」(来海社長) …