ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。
コンサル経験を生かし旧態依然の業界に切り込む
埼玉県を中心に展開する温浴施設「おふろcafé」が、女子、ファミリー、シニアなど幅広い層に人気だ。運営するのは温泉道場(埼玉・比企)というベンチャー企業。既存の温浴施設をリニューアルし、新たなブランディングのもとでサービスを提供するという、ユニークなビジネスモデルで事業を展開している。
たとえば、大浴場にカフェレストランやブックライブラリーなどを備える「おふろcafé utatane」、室内でアウトドアのアクティビティが楽しめる「おふろcafé bivouac(ビバーク)」、食にこだわった「おふろcafé 白寿の湯」などだ。こうした多彩なコンセプトの温浴施設が、埼玉県を中心に7施設ある。
2011年以来、ほぼ1年おきに新たな施設を開業しており、売上高は毎年30%増の伸び率で推移している。
温泉道場の山﨑寿樹社長の前職は、経営コンサルタント。主に温浴業界の分野で活動していた。
「経営コンサルティングをする過程で、温浴施設のビジネスにはコンセプトもターゲットも特に設定せず、温泉を提供しているだけと言ってもいい、旧態依然とした面があることに気付きました。そこで、私たちが温浴業界に参入して、一石を投じようと考えたのです」(山﨑社長)
温泉道場が運営する温浴施設は、どれも施設のコンセプトと、利用客のセグメントを明確にしているのが特色。社内のメンバーで、施設コンセプトの立案や、ブランディングを行う。既存の温浴施設はこうした業務を外部の専門企業に依頼することが多く、内製は珍しいという …