私たちの体は過去に食べたものでできています。同様に、考え方は、いままで読み、聞き、学んだことからできているのでしょう。読書は、その人の考え方の骨格に影響を与えていることが多々あります。ゆえに「あの人はどんな本を読んでいるのだろう」と気になるのでしょう。本誌では各界で活躍する方々におすすめの本を紹介してもらいました。読んだことがあるものも、ないものも。年末年始に開いてみてはいかがでしょうか。
ファンベース
自慢にもなりませんが、私はビジネス書やマーケティング関連の本を読むくらいなら小説を読みたいと思う意識の低い人間です。が、これだけ(正確に言うと『明日の広告』(※)からはじまる一連の著作)だけは別です。2018年に出た『ファンベース』では、われわれの言いたいことはもう伝わらないという絶望を抱えながら、それでもなお企業がユーザーと向き合う覚悟について、手探りされています。
生活者の時間や認知、ターゲットの財布を狩るという、マーケティングが本来的に持つ攻撃性に自省を持つ人、半期ごとのスピードより、未来をじっくり見据えた仕事をしたい人こそ、読めば背中を押される一冊です。私も心が折れそうになった時、何度助けてもらったかわかりません …
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