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商品との接点増やす次世代店舗 店舗試着の弱点 デジタルでカバー

GU

ジーユーは11月30日、来店者と商品の接点を増やすことに特化した次世代型店舗「GU STYLE STUDIO」を東京・渋谷に開いた。デジタル技術により、バーチャルで商品を試着できるサービスや、店員の店内作業を削減して接客時間を増やす取り組みなどを実施。来店者が商品をより多く、濃く体験できる店舗となるようめざした。

一番の目玉は、撮影機能付きデジタルサイネージ「GU STYLE CREATOR STAND」。来店者の顔を撮影すれば、その顔を再現したアバターが画面上に現れ、そのアバターに商品を試着できるというもの。アバターは自分の顔をしているので、その商品が自分に似合うか、服の組み合わせはいいかなどが想像しやすい。

服の着せ替えは画面上の操作のみで行えるため、試着室で試着するのに比べてより多くの商品やコーディネートを試せる。これまで着ていた服と毛色の異なるコーディネートにも挑戦しやすくなりそうだ。

同社が試着をオンライン上で行えるようにした理由は「リアルでの試着は重労働」(ジーユーの柚木治社長)という認識からだ。すべての商品を、あらゆるパターンのコーディネートで試着するのは、労力や時間の面で現実的ではない。試着室には列ができることもあり、多くの商品をゆっくり試すのに気おくれする人もいるだろう。

同社はオンライン上で商品を試着することでリアルでの試着の課題を克服しようと試みる。ただ、「GU STYLE CREATOR STAND」は店内に4台しかなく、いくらサイネージで素早く服の着脱ができようとも、店が混雑しているときは時間を使ってオンライン試着するのは気が引けるかもしれない。

そこで、作成したアバターを専用のスマートフォン向けアプリ「GU STYLE CREATOR」に移し、アプリ上で引き続きオンライン試着を楽しめるシステムを構築。店内が来店者でごった返したときでも、別の場所でゆっくりオンライン試着できるようにした。

在庫は不要 品出し作業を削減

ほかにも来店者と商品の接点を増やす工夫がある。そのひとつが、テイクアウトによる商品販売を行わないこと。店内に在庫はなく、あるのは全商品の試着用サンプルのみ。商品の提供は倉庫から、自宅やジーユー各店、セブン-イレブンへの配送によって行われる。店員の品出し作業がなくなり、接客時間の増加が期待できる。

もうひとつ、来店者と商品の接点増加を図る工夫として挙げられるのが、試着室の予約制。来店者は試着室前のデジタル端末をタップすれば、試着室の利用を受け付ける紙が手に入る。紙には二次元バーコードが記載されており、アプリでスキャンすると、試着待ちの人数が表示される。待っている間、来店者は店内を散策できるので、商品を触れる時間が増える。

買う場ではなく商品と出会う場

柚木社長は同店を「商品を買う場ではなく、商品と出会う場」と位置付ける。そのため、決済は基本的にアプリ「GUSTYLE CREATOR」を通じて行うよう店舗を設計している。

たとえば、デジタルサイネージ「GUSTYLE CREATOR STAND」では気に入ったコーディネートの商品データを二次元バーコードとして表示でき、それをアプリでスキャンすれば、コーディネートに使用した商品がアプリ内にリストとしてストックされる。店内にある服それぞれにも二次元バーコードが付けられており、アプリに記録できる。あとは、リストの商品から実際に購入する商品を選び、決済する。

店内では例外的な対応策として現金払いに対応しているが、その場合でも店で商品をテイクアウトできない。ここでも「商品を買う場ではなく、商品と出会う場」というコンセプトを貫く。

試着した商品を検知 購入前行動をデータ化

また、同店にはEコマースのように、消費者の「購入以前の行動」をデータ化するシステムがある。

試着室の壁にはデジタル端末が設置してあり、その画面には試着室に持ち込んだ商品が表示される仕様となっている。商品に付いたICタグをデジタル端末が読み込む、という仕組みだ。この技術により、だれがどんな商品を試着したか、購入にいたったか、いたらなかったかなどの行動をデータとして蓄積できるようになる。このデータは将来的に商品開発やEコマースの画面設計、接客の改善に役立てる。

柚木社長は、「GU STYLE STUDIO」のような次世代型店舗を横展開するかについて「現在検討中」と話す。「この店の課題も見つかるだろう。まずはこの店の便利さや楽しさを磨いていきたい」。一方、デジタルシフトは進める方針で、「Eコマースの売り上げ比率は現在6%だが、時期は未定ながらも、将来的には30%まで引き上げたい」とする。

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