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「買う」5秒前2

不満を吐きたいワタシ

草場滋

不満は宝の山。不満買取センターに投稿されるネタの数々には、新しい市場を生み出すヒントが隠されている。
イラスト:高田真弓

今でこそ宅配便は僕らの生活に欠かせないサービスだが、40年ほど前までは、遠方に荷物を送るには郵便局の小包か、国鉄の「チッキ」なる小荷物配送サービスを利用するしかなかった。前者は重量に上限(6㎏)があったので、必然的に後者を利用する機会が多かった。

しかし――これが大変だった。当時は国鉄のストも多く、駅員もサービス精神に欠けていたので、梱包のやり直しを命じられたり(一応、こちらが客だ)、宛先を何ヶ所も書かないといけなかったり、平気で2、3日遅れたり、荷物の受け渡しに駅まで行かないといけなかったり――と、不便この上なかった。それでも、他に荷物を送る手段がなかったから、僕らは我慢しながら利用していた。

でも、そんな不満に応えようと立ち上がった人がいた。ヤマト運輸の2代目社長の小倉昌男さんである。彼も常日頃から国鉄の配送サービスに不満を感じており、利用者目線に立った宅配サービスを思いついた。それは、梱包は簡単でよく、翌日には届き、送り先まで配達してくれるサービス。「宅急便」と名付けられ、1976年に業務を始めると、瞬く間に市場を席巻。ライバル他社も参入して、今や僕らの暮らしに欠かせないサービスに成長したのは周知の事実である。

そう、宅急便の成功は、利用者の不満にヒントがあった。不満が多いというのは …

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