連日の「ホタテがピンチ」報道に、いつしか消費者の“脳内スロット” の絵柄が3枚揃い、「モーレツにホタテが食べたい!」状態に。嬉しい悲鳴である。
イラスト／高田真弓
その日、用意されたホタテは、開始わずか2時間で完売したという。先の10月初旬、東京・御徒町駅の駅前広場で開催された東京電力主催の「ホタテ祭り」初日の様子である。
ここで、改めてコトの経緯を。今年8月下旬、東京電力は福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水の海への放出を開始した。原子力の国連専門機関IAEAから「国際安全基準に合致する」と報告を受け、大量の海水で薄めてトリチウムの濃度を国の安全基準の40分の1未満に。人や環境への影響は無視できるレベルという。
しかし、これに中国が反発。日本産の水産物の輸入全面停止に踏み切り、有力な輸出先を失った日本の水産業界はピンチに。中でも、中国向けの輸出が半分を占めるホタテ漁業の皆さんは深刻。その8割が集中する北海道では、大量のホタテが倉庫にあふれている────といった趣旨の報道は、皆さん、何度もご覧になられたと思う。それを受け、政府や東電は風評被害…
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