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ヒットの仕掛け人

ハウス食品、消費者が完成させる調味料で市場トップ10入り目指す

ハウス食品「まぜてマジック」

ハウス食品が2014年8月に発売した調味料「まぜてマジック」は、マヨネーズ、ソース・ケチャップといった調味料と混ぜると、タルタルソースやバーベキューソースなど、一手間かかるソース、タレが作れる商品だ。基本的なソースやタレなら25種類ほど、工夫を凝らせばそのバリエーションはさらに多岐にわたる。手軽にさまざまな味が楽しめるとあって、発売1カ月で販売数100万本に到達、支持を広げている。目標は年間売上高10億円。「ごまドレッシング」「しそドレッシング」「和風ドレッシング」など競合がひしめく中で定番化を狙い、トップ10入りを目指す。

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今回登場する仕掛け人は、ハウス食品事業戦略本部食品事業二部の伊藤秀一郎氏。「最後の一工程」を消費者に委ねる「まぜてマジック」には、近年マーケティング手法として注目を集める、消費者と商品価値を築く「共創」の考え方も見てとれる。「共創」は消費者がファンに育てば強さを発揮するが、難点はそこに至るまで。「試してもらうことが何より」と話す伊藤氏の秘策とは。

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ハウス食品事業戦略本部食品事業二部 チームマネージャー 伊藤秀一郎氏

─2014年8月の発売後、1カ月で販売数100万本到達という好調なスタートを切りました。

伊藤 秀一郎▶ ありがたいことに発売前から好感触は得られていました。そのひとつが、食品卸会社が主婦向け雑誌『Mart(マート)』とタイアップして開いた展示会です。雑誌読者の主婦が集まり、出展社の新商品に投票するのですが、「まぜてマジック」は加工食品カテゴリー1位を獲得できました。従来も出展したのですが、1位となるのは初めてでした。

『Mart』読者の主婦の皆さんは感度が高く、新しもの好き。積極的にブースを巡り、「この春の新商品は…」「この秋の新商品は…」と品定めしていくんです。その評価はシビアですし、私たちも「まぜてマジック」は食品にしては先鋭的で、受け入れられないのでは、と心配していたのですが、反応がよく安心しました。

バイヤーの方々からも「これは画期的ですね」と好感触を得ていました。頭で考えると楽しいのでしょう、男性バイヤーからも評判が良かったですね。

─ハウス食品のラインナップでは数少ない調味料です。期待も高いのでは。

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バリエーションの多さを明るく訴えるCM
女優・黒谷友香さんを起用した「まぜてマジック」のCM。店頭では「CMを見て気にはなっていたのよ」との声も聞かれ、、認知度向上に貢献。

伊藤▶ はい、安定して売れ続けるベーシックな調味料を世に出したいという考えもあり、力を入れています。現状、ドレッシング市場で人気が集中しているのは「ごまドレッシング」「しそドレッシング」「和風ドレッシング」で、4位以下の売上高推定が数億~15億円ほど。新商品ながら「まぜてマジック」もトップ10に入るべく、年間売上高を10億円に設定しました。冬場はドレッシングの消費が落ち着いてしまう時季なのですが、2月にテレビCMを投下したことで再び数字が上がってきました。現在の反応から見ると、目標に到達できると考えています。

─どんな手応えがありますか。

伊藤▶ ほかの商品と異なる現象に、お客さま相談センターに寄せられる声があります。一般論でいうと、お叱りをいただく場のように思ってしまいがちですが、「まぜてマジック」には「便利で驚いた」ですとか、「とても簡単にタルタルソースを作れていい」「手軽にハンバーグの味付けが変えられた」などと、お褒めの言葉を連日のようにいただいています。これは私の開発部人生でもあまりなかったことで、支持いただけていることを実感し、嬉しく思います。

─商品が人気を集めている理由はどこにあるのでしょう。

伊藤▶ やはり一番の特徴は、ソースやタレづくりの最後の一工程を、お客さまに委ねた点ではないでしょうか。いま世の中には多くの商品があり、バリエーションとしては満たされている状況です。主婦の方々も、家族に日々、楽しんでもらいたいとかんがえる料理のレパートリーは広がるばかりだと思います。

しかし、すべてを揃えるわけにはいきません。また …

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