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価値創造プロモーションの実践

40年間赤字なしのサラダコスモによる“チコリの6次産業化”戦略?

学習院大学経済学部 上田隆穂教授

図1 売上高の推移

1.はじめに

アベノミクスは「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」からなる。だが、ばらまきによる「財政出動」や「金融緩和」は一時的なカンフル剤に過ぎず、最も重要なのが「成長戦略」である。これは新ビジネスへのチャレンジなどを骨子とする。ⅰこの成長戦略において参考になる中堅企業が岐阜県中津川にあるサラダコスモだ。創業以来赤字決算のないこの企業の成長力の凄さは、図1の売上高推移を見る通りだ。ちなみに2012年は、売上高71億円、税引き前利益が6億円であり、税引き前利益率は約8.5%と高い。この成長の推移は外食産業のような出店による成長ではなく、メーカーとしての売上高推移なので凄さがある。例えば、後述のもやしの製造販売に切り替えてからの16年間は、売上高2000万円が42億円になった時期であり、これは複利35%で16年間運用したのと同等の成長だ。アベノミクスの成長戦略に必要なのは、まさに同様の企業を増やしていくことだろう。本論ではこのサラダコスモの価値創造を見る。

2.サラダコスモのスタートと成長

サラダコスモの業種は、野菜の工場栽培、ちこり村(情報展示、製品展示販売、焼酎生産、野菜メインのレストラン営業)が主だ。中でも主力の緑豆もやしが中心を占め、日産50万パックの生産能力を持つ。

代表取締役は現在、中田智洋(なかだ ともひろ:以下敬称略)63歳だ。中田が大学生の頃、父親はラムネの製造・販売を営み、22歳の大学卒業当時、年商2000万円、従業員(パート)2、3人だった。大学卒業後に父親を手伝っていたが、78年28歳の時、父親が脳梗塞で倒れて、いきなり後継者となった。ラムネ製造・販売は、戦後いい時代もあったが、大手清涼飲料水メーカーの参入で低迷した。これ以上の成長もないと見た中田は、ここで事業を転換した。

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