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プロトタイピング発想のデザイン

頭の中の「仮想空間」で情報管理

三冨敬太

エンジニアリング分野から生まれた「プロトタイピング」。近年、デザイン思考の分野からも注目を集めている。デザインファームなどを経営しつつ、プロトタイピングの研究と実践に取り組んできた三冨敬太さんが解説する。

頭の中の「仮想空間」で情報管理

「自分の目の前にまっさらなキャンバスをつくっておいて、そこに情報をプロットする。たとえば、Aさんの発言は、左上に置いておく。Bさんの発言は右上に置いておく。Cさんの発言はAさんに近いので、左上のAさんの発言の隣に置く」。

これは、障害の有無をこえて共同で立ち上げた企業 veernca(ヴィアンカ)合同会社の仲間であり、視覚障害当事者でもある松村道生が話す、打ち合わせで情報を管理する方法です。松村は打ち合わせ中の情報をメモして残すのではなく、頭の中の「仮想の空間」で管理しています。

この情報の管理方法について松村から紹介された際、どのような体験になるのかを試すために、すぐに皆でプロトタイピングをしてみることにしました。まず、veerncaの各メンバーが10種類の名言について「どのくらい覚えたいか」「共感するか」などの項目を、オンライン上のフォームから回答。

そして次に、CAD上でメンバーそれぞれを表す人のイメージと、その人を中心とした360度の空間を作成。回答してもらった名言について、それぞれのメンバーごとにCAD上の空間に名言を配置していきました。配置するパターンは法則性を持たせ、「覚えたい」と回答した名言は、CAD上の人の前方に。...

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